【9月14日 AFP】小さな無脊椎(むせきつい)動物「クマムシ」が、強烈な放射線が飛び交う宇宙空間に直接さらされても生き延びたとの論文が、米科学誌「カレントバオロジー(Current Biology)」(9月9日号)で発表された。

 研究を行ったスウェーデンのクリスチャンスタード大学(Kristianstad University)のIngemar Jönsson氏が率いる研究チームによると、宇宙空間で動物の生存が実験で確認されたのは今回が初めてだという。

 緩歩動物とも呼ばれるクマムシは、8本脚で体長0.1-1.5ミリ。約600種が存在し、山頂から深海まで地球上のあらゆる場所に生息するが、湿った地衣類やコケ類に暮らすものが多い。

 クマムシは、マイナス272℃から151℃以上の温度で生存でき、放射線にも強く、数年間の乾燥にも耐え、300気圧の圧力下でも生き延びることができる。

 研究チームは、前年9月に打ち上げられた欧州宇宙機関(European Space AgencyESA)の人工衛星「FOTON-M3」に乾燥させたクマムシを乗せた。クマムシたちは上空270キロの軌道上で、太陽からの放射線が容赦なく飛び交う宇宙空間に直接さらされた。

 クマムシたちが地球に戻った後、研究者たちはその多くが宇宙の過酷な環境を生き延びたことを確認した。中には地上より1000倍以上強い強烈な紫外線を浴びても死ななかったものもいた。クマムシは地球帰還後に普通に繁殖したという。

 クマムシが紫外線に耐えるメカニズムは分かっていないが、研究チームによると「クマムシを乾燥に強くしている細胞レベルの仕組みが、全体的な耐性の強さに関わっている可能性がある」という。(c)AFP

【関連記事】万有引力を発見したニュートンのリンゴの木、無重力の宇宙へ