【9月9日 AFP】(一部更新、写真追加)タイの憲法裁判所は9日、サマック・スントラウェート(Samak Sundaravej)首相がテレビの料理番組に出演し、謝礼を受け取ったことが憲法違反に相当すると判断、首相に退陣を命じた。また首相のみならず内閣総辞職が必要だとする審判を下した。

 憲法裁は、サマック首相は番組の司会役を務めたことで出演料を受け取ったが、これが憲法違反に相当すると判断、首相の即時辞任を求め、現政権は議会が新首相を選出するまでの30日間の暫定内閣とすると命じた。

 裁定には「憲法裁は全会一致で、サマック・スントラウェート首相が、憲法267条に違反したと判断した。これに従い、首相としての職務は終了する。サマック首相の地位の消失に伴い、内閣もすべて辞職する必要があるが、新政権が発足するまで暫定内閣としてとどまる」と記された。裁定は9人の判事団が行った。

 憲法裁は、サマック氏が首相選出後に番組出演したテレビ局フェース・メディア(Face Media)から、謝礼を受け取っていないと偽の証言をしたとも糾弾した。納税記録では、サマック氏が謝礼を受領し続けていたことが示されている。

■与党、早くもサマック氏再選へ動く

 しかし、サマック首相の次期選挙への出馬は禁止されておらず、すでに与党はサマック氏擁立の方針を打ち出している。

「国民の力党(People Power PartyPPP)」を中心とする連立与党は、サマック氏再選に向けて早速動き始めた。PPP副党首のKan Tienkaew氏は「われわれは裁定を尊重はするが、今回の件はあまりに法律論的過ぎる。明日の議会で即、次期首相を選出できるよう願う」と述べた。(c)AFP