【9月10日 AFP】イスラム教が米国に浸透するのに伴い、宗教の伝統と米国の合理性を融合させた巨大モスクが米国各地に出現しつつある。巨大モスクは、信徒2000人以上を収容できる非カトリック系の巨大教会をモデルにしている。そして一部の地域では、今や欠かせない存在となっている。

 イスラム教の市民団体「米イスラム関係評議会(Council on American Islamic RelationsCAIR)」によると、金曜礼拝には、1000人を収容する巨大モスクに2000から3000人が集まってくることもあるという。交通渋滞を招くこうした状態を解消するため、礼拝を衛星中継するシステムも整備された。これも巨大教会のやり方にならったものだ。 バージニア(Virginia)州には、シナゴーグから間借りした巨大モスクさえある。

■米国的価値観を持つ若いイスラム教徒ら

 米国の巨大モスクが「米国風」たる要素は、それだけではない。米国のイスラム教徒の3分の2以上は、主に中東からの移民だ。その一方で、彼らの物の考え方や価値観、態度は、米国人の主流のそれと同じだとする報告がある。

 宗教と国民生活に関するピュー・フォーラム(Pew Forum on Religion and Public Life)が前年発表した報告書によると、米国のイスラム教徒は、プロテスタントで言うところの「労働倫理」を奉じ、多くの米国人同様に「勤労すれば報われる」と信じている。また、彼らは、西欧諸国のイスラム教徒以上に、イスラム原理主義に否定的だという。 

 祈りの場に「宗教の伝統と米国の合理性」が溶け合った、米国ならではのモスクは、特に若いイスラム教徒たちを惹きつけている。

 米国では9月1日にイスラム教の断食月「ラマダン(Ramadan)」が始まった。ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)大統領はその前日、世界中のイスラム教徒へのメッセージの中で、イスラム教コミュニティーが果たした米国への貢献に感謝すると述べた。

 ラマダン期間中、国内のいくつかのモスクは、24時間開放されるという。(c)AFP