【8月11日 AFP】10日に行われた、北京五輪の女子10メートル・エアピストルの表彰式で、グルジア・南オセチア(South Ossetia)自治州をめぐって激しい戦闘を行っているグルジアとロシアの選手が抱擁を交わし、五輪期間中の停戦を訴えた。

 抱擁を交わしたのは、銀メダルを獲得したロシアのナタリア・パデリナ(Natalia Paderina、32)と銅メダルを獲得したグルジアのニーノ・サルクワゼ(Nino Salukvadze、39)。皮肉なことに、パデリナはロシア軍兵士だ。

 トビリシ(Tbilisi)出身のサルクワゼは「スポーツについて言えば、わたしたちはいつも友人のままでいるし、どんなことが起ころうとも友情が壊れることはない」と語った。2人は過去の大会などで顔を合わせていたという。

「スポーツ選手や一般の人びとの間に憎しみはないはず。解決は政治家に任せてある」(サルクワゼ )

 エカテリンブルク(Yekaterinburg)出身のパデリナも、大会などでサルクワゼと会う時はいつも親しくしていたと語った。実際、旧ソ連時代は2人はチームメイトだった。

 サルクワゼは、ロシア軍との戦闘が激化したことによるグルジア選手団の五輪引き揚げを懸念していたが、10日早朝にグルジアのミハイル・サーカシビリ(Mikhail Saakashvili)大統領から北京(Beijing)に残るよう説得されたことを明らかにした。

「(サーカシビリ)大統領が電話してきて北京に残った方がいいと言ってくれた。わたしたちは寝ることができなかった。グルジア本国のことばかり考えていた」(サルクワゼ)

 グルジアとロシア両国は10日、国際オリンピック委員会(International Olympic CommitteeIOC)に対し、引き続き五輪での競技に参加する意向を示した。両国は13日に、女子ビーチバレーボールで直接対決することになっている。(c)AFP/Dave James