【7月31日 IDO Securities】昨晩のNYは、米7月ADP全米雇用報告の予想を上回る結果を受け、ドル円は108円台半ばに反発したものの、EIA週間在庫統計でガソリン在庫の予想を上回る減少を受けた原油上昇を嫌気して、一時108円を割り込んだ。米7月ADP全米雇用報告の民間部門非農業部門雇用者数は、事前予想に反して前月比9千人増加(事前予想は6万人減)。この数字をベースに、週末の非農業部門雇用者数は+2.4万人前後になる計算だが、ここ最近のADP雇用報告とBLS(労働省労働統計局)の非農業部門雇用者数の数字は乖離しており、週末も雇用統計を受けて荒れる予感。

 本日は、ユーロ圏の7月HICPに注目。7月にユーロ圏で発表された主要景況指数は軒並み大幅悪化を記録しており、要注意。昨日の豪6月建築許可の予想を下回る数字や、本日の豪6月小売売上高を受けてオーストラリア・ドル、ボラードBRNZ総裁の追加利下げを示唆する発言を受けてニュージーランド・ドルがそれぞれ下落、日本の6月鉱工業生産も前月比2.0%減と、事前予想(-1.7%)よりも弱い結果となっており、米国以外の地域での景況感の悪化も数字として出始めており、クロス円の動きも読み難くなるか?米国では2QGDP速報値、新規失業保険申請件数、7月シカゴPMIに注目。

 NY原油は、週間在庫統計でガソリン在庫急減を囃して急反発。ストップロスが集中していた120ドルは維持された。8月のNY原油の変動率は5~7月と比較して高い傾向があり、ハリケーンリスク・地政学リスク・金融市場リスク等を考慮すると、8月~9月にかけてこちらも荒れる予感。今回の商品市場の長期上昇トレンドを的確に予想した投資家ジム・ロジャーズは、今回の下落に関して「原油の強気市場は1999年に始まったが、過去9年間で原油市場は3回、40%以上下落している。これは強気市場の終わりだったのだろうか?」と述べている。

 30日のエネルギー情報局(EIA)週報では、冬場の米国のヒーティングオイル需給について、供給業者と消費者が価格下落を見越して購入を見合わせた場合、現物が不足する可能性を警告している。さらに、米国における投機抑制策が、共和党の反対で可決に必要な3分の2の賛成が得られず、上下両院で不成立となった。8月の議会休会中は少なくとも、投機抑制対策の議論は中断されるわけで、機関投資家などに対する建玉制限強化を柱とする投機抑制策の議会休会前の成立はなくなった。

(投資情報部 菊川弘之)
NPO法人日本テクニカルアナリスト協会検定会員(CFTe)ラジオNIKKEI(北浜流一郎・菊川弘之の朝一投資大学)をはじめ、時事通信等でアナリストの目、テクニカル分析情報を掲載。ブルームバーグTV、日経CNBCなど多数のメディアにも出演中。商品先物関係のアナリストとして著名だが、日経平均先物オプション取引や外国為替取引の分析でも定評がある。

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