【7月24日 IDO Securities】ここ最近のドル高は、市場センチメントの改善を背景とした米株上昇と、原油下落(インフレ期待の低下)を背景とした米実質金利の上昇が背景。米実質金利の上昇がドルをサポートする流れが続くか否かを見る上で、原油価格の動向には引き続き注目が必要だ。
 NY原油は年初からの上昇トレンド割れとなっている。ハリケーン「ドリー」がメキシコ湾岸の主要精製施設へ被害をもたらす可能性が大きく後退した事が嫌気された。短期的には120ドルの攻防が焦点に。同水準を割り込むと、テクニカル的な圧力の高まりが予想されるが、残りのハリケーンシーズンを考慮すると、そこからの安値は買い拾いに分があるか? イランのマフムード・アフマディネジャド(Mahmoud Ahmadinejad)大統領は、核開発問題で譲歩はしないと明言しており、ナイジェリアの反政府組織、ニジュールデルタ開放運動(MEND)は23日、今後30日以内に主要石油パイプラインを攻撃することを明らかにしており、地政学リスクの再浮上も考えられる。
 昨晩の海外市場では商品市場は全面安となったが、昨日の東京市場の夜間取引と比較すると穀物などはプラスサイドとなっている。東京とうもろこしは、一陽介在十一陰連となっており、短期的な売られ過ぎ感が意識されても良い値位置にある。天候次第では、2番天井を探る流れに転じてもおかしくはない。商品市場は「山高ければ谷深し」の様相となっているが、金や白金などでは高値圏では手控えられていた実需の動きが、ここからの安値では出てくる事になるだろう。実需と比較して投機資金の規模が大きい故に、投機の投げが一巡するまでは、底打ち確認とはならないものの、中長期スタンスでは、そろそろ買い場探しの銘柄も出てくる。
 8月にかけて、商品市場にもう一波乱あれば、ドル・株の上値は抑えられる事になる。ここからのドル・株式の高値掴み、商品市場の安値売り込みは、いずれも避けたいところだ。
 
(投資情報部 菊川弘之)
NPO法人日本テクニカルアナリスト協会検定会員(CFTe)ラジオNIKKEI(北浜流一郎・菊川弘之の朝一投資大学)をはじめ、時事通信等でアナリストの目、テクニカル分析情報を掲載。ブルームバーグTV、日経CNBCなど多数のメディアにも出演中。商品先物関係のアナリストとして著名だが、日経平均先物オプション取引や外国為替取引の分析でも定評がある。

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