【7月22日 AFP】世界最古の砂漠の1つ、アフリカ南西部のナミブ砂漠(Namib desert)には青々としたブドウ園が広がっている。にわかには信じがたいが、ここには炎暑とほこりの中の長旅の疲れを癒してくれるワインがある。

 年間3000本のワインを生産するこの「砂漠の中のオアシス」を作り上げたのは、60代前半のアラン(Allan Walkden-Davis)さんだ。こうした「ありえない」状況下でワインを作るための彼の技術と専門知識は年々向上し、人々の注目を集めている。

■100年前にドイツ人入植者が開拓した農地を利用

 彼が1996年にこの場所を訪れたとき、数年来の干ばつで植物の大半は死に絶えていた。だが驚いたことに、20世紀初めにドイツ人入植者が耕していた農地の地質断層から水が沸き、当時栽培された食用ブドウがいまだに太く枝を伸ばしていたのだ。

 アランさん夫妻は「ナミビアのこの場所に愛着を感じた」ため、Neurasに1万4000ヘクタールの土地を購入した。Neurasは、地元のナマ語で「見捨てられた水の土地」を意味する。

 この地域では、高級皮革製品向けのカラクール羊の農場が、数少ない産業の1つだ。しかしアランさんは、購入した土地にアシやヤシの木を植え続け、ブドウ栽培への準備を整えた。こうした植物が大西洋から砂漠に吹き込んでくる風の湿気をとらえ、オアシスに水分を補給するのだと言う。

 ますシラーズ(Shiraz)種を植え、のちにメルロー(Merlot)種も加えた。100年前にドイツ人が使用していたかんがい用水路を改修し、それを使用している。(c)AFP