【7月10日 AFP】米国で地震波の速度変化を測定する方法が改良され、将来的に地震予測の精度が改善される可能性もあるとの研究結果が、9日の英科学誌「ネイチャー(Nature)」で発表された。

 実験を行ったのは米カリフォルニア(California)州パークフィールド(Parkfield)にある深部サンアンドレアス断層観測所(San Andreas Fault Observatory at DepthSAFOD)のFenglin Niu氏ら。

 研究結果によると、2005年後半に同地で起きた2つの小規模な地震の発生中と発生前後のせん断波(S波)の速度を測定。それぞれの地震前に異常な兆候を観測した。1度目は地震発生の10時間前に、2度目は2時間前だったという。

 地震が発生すると、震源地から全方向に向けてエネルギーが放出されるが、地震波には2種類ある。1つは粗密波(P波)で、進行方向に圧縮と膨張を繰り返して振動を伝える。もう1つはより破壊的なS波で、速度は遅く、地面を上下前後に揺らし、地震波の進行方向に対し垂直に振動を伝える。

 これまでにS波の速度は地下の割れ目の開閉による応力のレベルによって異なることが分かっていた。

 理論上は、このレベルの違いがある種の「ストレスメーター」となり、地震予測が可能になるはずだ。しかし、これまで地震予知に応用できるほど精密な地震波速度の測定はできていなかった。

 実験で研究者らはまず、正確に測定できる大気圧による地震波の速度変化を計測して「ストレスメーター」を「較正」した。これまでの研究で大気圧が高ければ高いほど、地震波の速度が速くなることが判明している。

 この相関関係において最もずれが大きかったのは、2か月間の観測期間中で最大となったマグニチュード3.0の地震が発生する数時間前だったという。

 Niu氏は、今回の実験で事前の地震波を観測できたことに満足感を示しており、より正確に事前の地震波発生のタイミングとその物理的なメカニズムを理解するために、さらなる実験を予定しているという。(c)AFP