【6月23日 AFP】マケドニアで少なくとも3人の女性に関する殺人容疑で逮捕され、殺害について自ら記事を書いていたとされる記者が23日、留置場で自殺した。メディアに「キチェボ(Kicevo)の怪物」と報じられた陰惨な事件の幕引きについて、地元警察は「ホラー映画のようだった」と表現した。

 前週20日、少なくとも3人の犠牲者を誘拐、虐待、強姦などした上で首を絞めて殺害し、遺体を切断した後にビニールバッグに入れ数か所に遺棄した疑いで、新聞記者として活動するVlado Taneski容疑者(56)が逮捕された。

 しかし同容疑者は拘束から3日もおかずして、西部の都市テトボ(Tetovo)の警察の留置場で自殺した。

 警察の広報担当官はAFPの取材に対し、「容疑者は水をいっぱいに張った手桶に頭を突っ込んで自殺した。同じ監房の収監者たちや看守が、どうして誰も気づかなかったのかは不明だ」と説明し、「ホラー映画のような結末となった」と述べた。

 取調べに対しTaneski容疑者は、終始落ち着いた様子で、自供も否認もしなかったという。

 遺体から容疑者のDNAが発見された3人の犠牲者は全員、容疑者と同じマケドニア南西部の町キチェボの出身で、年齢は55歳、65歳、70歳と中年から高齢の女性だった。

 さらに79歳の女性1人が行方不明となっており、捜査当局では同じくTaneski容疑者に殺害されたものとみている。

 マケドニア法務省の発表によると、留置場内の現場状況から、同容疑者が自殺を図ったのは房内のトイレに行った23日午前1時50分(日本時間同日午前8時50分)ごろとみられる。同省高官のJordan Mihajlovski氏は、「収監された際の健康状態は良好で、暴力的行為の兆候もまったくなかった。自殺の恐れを示すものは何もなかった」と述べた。

 容疑者の遺体は検視解剖のため、首都スコピエ(Skopje)に送られた。(c)AFP/Zoran Andonov