【6月12日 AFP】今月1日に死去したデザイナーのイヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)氏の遺灰が11日、モロッコ・マラケシュ(Marrakechv)のマジョレル庭園(Majorelle Garden)にまかれた。

 サンローラン氏とパートナーのピエール・ベルジェ(Pierre Berge)氏は1980年にマジョレル庭園を購入した。庭園にはサボテンや椰子、竹、シダなどの植物が青々と茂っている。

 ベルジェ氏は「遺灰を彼の家のバラ園にまきました。私たちが30年以上も、たびたび出かけていた場所ですからね。記念碑はマジョレル庭園に設置しました。壊され、ホテルが建築される予定だったこの庭園に、サンローランと私は新たな命を与えたのです」と語る。

 アルジェリア生まれのサンローラン氏が、同じマグレブ諸国のモロッコ・マラケシュを初めて訪れたのは40年前。以来、この地で多くの時間を過ごしてきた。「いつも、パリの墓地は哀しくて寂しいと思っていた。この場所には、毎年65万人が訪れる。イヴ・サンローランの名はモロッコ、そしてマジョレル庭園と強く結びついている。この場所を選んだと告げなくても、人々は彼への思いを馳せるだろう」

 記念碑にはめられた大理石のプレートには「イヴ・サンローラン、フランスのクチュリエ、1936年8月1日オランに生まれる、2008年6月1日パリに没す」と刻まれている。

「昨年、彼の脳腫瘍が末期だと知りました。彼がこの世を去り、私がひとりになる、ということもね」とベルジェ氏。さらに、自分が死ぬ時は、火葬し、彼の灰をサンローラン氏の隣にまく予定だと語った。

 約90人が式に参列するためデザイナーの家を訪れた。元仏文化・通信相のルノー・ドヌデュードバーブル(Renaud Donnedieu de Vabres)やジャック・ラング(Jack Lang)、テレビ司会者のクレア・チャザル(Claire Chazal)のほかに、以前サンローラン氏のもとで働いていたスタッフや、氏の看病についていた看護師の姿もあった。愛犬Moujik(ムジック)も、もちろん一緒だ。

 ラング元仏文化・通信相は「サンローランの遺灰を、彼が愛したこの国にまくというベルジェのアイデアはとても素晴らしいと思う。彼の死を受け入れるのにぴったりの方法だと思うよ」と話す。

 チャザルは「サンローランとのディナーは宝物のような大切な時間でした。彼の年齢のこともあり、すこし哀しい気分になることもありました。それでも、瞳の中には輝きがありました。ユーモアと慈悲に満ち溢れた人物でしたからね」と思い出を語った。(c)AFP