【6月12日 AFP】(一部更新、写真追加)カナダのスティーブン・ハーパー(Stephen Harper)首相は11日、1874年に始まった同化政策の一環として、先住民15万人を寄宿学校に強制的に入学させて「深く傷つけてきた」として、先住民らに公式に謝罪した。

 首相は下院で、議員のほか先住民の指導者、インディアン全寮制学校の卒業生らを前に、「カナダ政府は、先住民を深く傷つけてきたことを心から謝罪する」と述べた。

 また、先住民の寄宿学校という考え方の根本には「先住民の文化や信仰は劣っていて適切ではない」という考えがあったと指摘した上で、「子どもたちを自分たちの家族や文化から切り離し、主要な文化に同化させるという方針は正しくなかったことをカナダ政府は認める。先住民の文化、遺産、言語を修復しがたく大きく損なったことを認める」と謝罪した。

 子どもたちを同化させようとする試みは「カナダ史における悲しみの1章」だとも付け加えた。

■精神的、肉体的にも暴力を受ける

 1874年以来、国内に住むインディアンやイヌイットら15万人が、政府の同化政策の一環として、教会が運営する132の寄宿学校に強制的に入学させられた。

 先住民らは、校長や教師に暴力を振るわれたと証言。家族や共同体から切り離された上に、自分たちが先住民であることを「恥ずかしい」と思わせるような教育内容だったと証言している。

 カナダの先住民組織「Assembly of First Nations」のPhil Fontaine氏は、「政府はインディアン性を子どものうちから摘み取り、カナダからインディアンというものを一掃しようとしてきた」と話す。ある卒業生は「文化のジェノサイドだった」と断言した。

*カナダの先住民組織「Assembly of First Nations」のPhil Fontaine氏→本サイト

 強制入学制度は先住民コミュニティの貧困や荒廃を招いたとの批判もある。

 カナダの総人口3300万人のうち、130万人が先住民だ。インディアン全寮制学校は、当時米国にあったインディアン実業学校をモデルに各地に創設されたが、1970年代にはその大半が閉校。サスカチワン州(Saskatchewan)に残っていた最後の1校も1996年に閉校した。(c)AFP