【6月3日 AFP】韓国の現代自動車(ヒュンダイ、Hyundai Motors)会長の鄭夢九(チョン・モング、Chung Mong-Koo)被告(69)の差し戻し審で、ソウル高等裁判所は3日、懲役3年の刑の執行猶予を認めた。一方で、控訴審で同時に命じられた「社会奉仕活動への従事」に関しては、肉体労働を含むより厳しい活動を命じた。

 鄭会長は不正会計処理によって会社の資金900億ウォン(約110億円)を横領し、政治家や政府高官、銀行関係者などへの贈賄に使ったとして、前年2月の一審で懲役3年を言い渡された。

 しかし、控訴審では「鄭氏を収監して実刑を科した場合、韓国経済に甚大な損失が生まれる」として懲役に執行猶予がつき、実質減刑された。一方で、被告自身の申し出に従い、慈善活動への約8400億ウォン(約850億円)の寄付や、企業倫理に関する執筆・講演活動といった社会奉仕活動が命じられた。

 検察は、前例での社会奉仕命令には肉体労働が含まれるとして最高裁に上告。最高裁は4月、執筆や講演活動は刑法で定められている社会奉仕活動にあたらないとし、高裁判決を差し戻した。

 差し戻し審では奉仕活動部分が見直され、控訴審よりもより厳しく、慈善事業や環境保護のための単純労働を含む300時間の社会奉仕が命じられた。

 韓国では歴史的に財閥の大物や企業幹部が告発された場合、判決が寛大になる傾向がある。(c)AFP