【5月27日 AFP】スポーツ用品メーカーHeadの経営者で、ゴードン・ブラウン(Gordon Brown)英首相の森林破壊についてのアドバイザーでもあるスウェーデン生まれの富豪ヨハン・エリアシュ(Johan Eliasch)氏(46)が、ブラジルのアマゾン全体は500億ドル(約5兆2000億円)で購入可能だと発言しブラジルで物議をかもしている。26日、ブラジルのグロボ(O Globo)紙が報じた。

 この発言に加え、エリアシュ氏はアマゾンの森林16万ヘクタールを購入したと見られており、ブラジルの警察と情報機関はエリアシュ氏を調査している。

 報道によると、エリアシュ氏は、熱帯雨林の保護のために自身が共同創設した自然保護組織クール・アース(Cool Earth)の責任者の地位を利用して、土地売買を促していたという。

 グロボに掲載されたブラジルの情報機関ABINの報告書によると、エリアシュ氏は「2006-2007年にかけて実業家らと会合をもち、その際にアマゾンの土地を購入するよう提案した。さらに、『わずか』500億ドルもあればアマゾン全体を買い取れるだろうと発言」したという。

 これはブラジルにとって微妙な問題だ。以前にも、英国の政治家らが、アマゾンは人類にとって非常に重要なのでブラジル政府のみに管理を任せるべきではないとの声明を発表し、ブラジルが強く反発したことがある。

 ブラジルのルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ(Luiz Inacio Lula Da Silva)大統領は26日、リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)での会合で、「ブラジルのアマゾンの所有者はブラジルの国民だ」と述べるとともに、森林保護と同様にアマゾンの開発も必要だと強調した。

 ブラジル政府は、違法な牧場や農場、森林伐採の取り締まりやアマゾンの多様な生物資源を狙う外国人に対する監視を強化し、アマゾンの保護策を強化している。

 ロンドン(London)在住で総資産7億9000万ドル(約820億円)のエリアシュ氏は、もともとは英保守党の有力支援者だったが、前年9月労働党支持に転じた。この過程でブラウン首相のアドバイザーの地位を得たといわれている。

 クール・アースは、英国や米国では一般的に評価が高い組織だが、一部では「グリーン・コロニアリズム(環境植民地主義)」とも呼ばれ、アマゾンの先住民にさまざまな問題を引き起こしていると批判されている。(c)AFP