【5月20日 AFP】米大統領選で民主党候補指名に近づいているバラク・オバマ(Barack Obama)上院議員(46)は19日、夫人の愛国心に疑問を呈する広告ビデオを制作した共和党陣営に厳しい調子で警告を発した。

 問題のビデオは米名門大卒の弁護士で2人の娘の母親でもあるミシェル夫人の「夫と、夫が訴える社会の変革を推し進めようとする草の根運動の広がりを目の当たりにして、大人になって初めて米国に誇りを感じた」という発言を取り上げたもの。

 この選挙広告ビデオは、インターネット動画共有サイト「ユーチューブ(YouTube)」で50万回近くも視聴され、共和党はミシェル夫人を攻撃する作戦に手応えを感じているようだ。

 このビデオにオバマ氏は厳しい反応を見せた。19日、米テレビABC(American Broadcasting Companies)のニュース番組のなかで「もし共和党がミシェルを選挙戦に巻き込むつもりなら、用心した方がいい。私は妻や家族への攻撃を許さない」と強い調子で述べた。またミシェル夫人は自分が知る限り最も誠実な人物で、この国を愛していると語り、共和党の選挙戦術を「低劣」と切り捨てた。

 専門家はこの発言をオバマ氏が師と仰ぐジェレミア・ライト(Jeremiah Wright)牧師による白人を敵対視した過激発言や、苦しい境遇にある白人労働者が銃や宗教に走っているとのオバマ氏自身の失言などと結びつけた。

 米国旗のピンバッジを着けることに積極的ではなかったとして、オバマ氏自身の愛国心にも繰り返し疑問を呈されてきたが、その批判を封じるためか最近のオバマ氏は米国旗のピンバッジを着けていることが多い。

 一方、マケイン氏は、選挙戦が盛り上がるのは望ましいことで、個人攻撃も規制するべきではないと公言している。しかし、大手ビール会社の会長を務める大富豪のシンディ・マケイン(Cindy McCain)夫人は納税額の公開を拒否し、民主党から非難を受けている。

 米大統領選挙戦における候補者の配偶者に対する攻撃は今に始まったことではない。

 オバマ氏と民主党の指名を争っているヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)上院議員は、夫のビル・クリントン(Bill Clinton)氏が1992年の大統領選に出馬した際の「家でクッキーを焼いていることもできたでしょうが、私は仕事を続けることを決心したのです」という発言が主婦を軽視しているとして厳しい批判を浴びた。(c)AFP/Stephen Collinson