【5月16日 AFP】米イリノイ(Illinois)州シカゴ(Chicago)市議会は14日、2年前に制定された「フォアグラ販売禁止条例」を廃止することを決めた。

 市内のいくつかのレストランは、フォアグラを無料にするなど、「法の抜け穴」を利用してフォアグラをこっそり提供してきた。こうしたレストランは、1920-1933年の禁酒法時代に酒をこっそり売っていた場所が「スピークイージー(speakeasy)」と呼ばれていたのにちなみ、「ダッキージー(duckeasy)」と呼ばれてきた。

 ダッキージーのシェフの1人、ディディエ・デュラン(Didier Durand)さんは「すばらしい!シャンパンを開けないと!」と大喜びだ。デュランさんによると、カメが印刷された名刺を見せるだけで「フォアグラが欲しい」の意思表示ができる「タートル・スープ(Turtle Soup)」なるクラブもあったという。

 もっともこの2年間、フォアグラを載せたホットドッグに条例を支持した市議会議員の名前をつけて提供したホットドッグ店以外に、罰金を課されたダッキージーはほとんどなかったという。

 アヒルに無理やりえさを与えて肝臓を肥大させるというこのフランス料理の食材の製造法は動物の虐待に当たるとして、ドイツ、イタリア、イスラエル、英国など15か国で強制給餌が禁止されてきた。

 2004年には、カリフォルニア(California)州が「2012年までにフォアグラの製造と販売を禁止する」との法案を採択した。その2年後の2006年、動物の権利擁護派が市議会の委員会で多数を握っていたシカゴは、自治体としては世界で初めてフォアグラの販売を禁止する条例を48対1で成立させた。この問題は食生活への政府の干渉に反対する人びとの関心を集めていた。

 14日は、条例廃止に反対する怒号が飛び交うなか37対6で条例の廃止が決まった。条例に賛成する議員や活動家が怒りと落胆をあらわにするなか、この条例は6月10日に正式に廃止される。(c)AFP/Mira Oberman