【5月16日 AFP】レバノンで対立が激化した、親欧米の与党を支持するイスラム教スンニ(Sunni)派勢力と、親シリア・イランのシーア(Shiite)派原理主義組織ヒズボラ(Hezbollah)など野党武装勢力の調停を行っていたアラブ連盟(Arab League)の代表団は15日、長期にわたる抗争の解決に向け、両者が対話を再開することに合意したと発表した。

 カタールのハマド・ビン・ジャシム・ビン・ジャブル・サーニ(Hamad bin Jassem bin Jabr al-Thani)首相が発表した6項目の合意に基づき、両者は16日にカタールで対話を開始し、大統領の選出、統一政府の発足、レバノン全土での政府権限の強化、政治目的での武力行使の抑制、街からの武装戦闘員の撤退などについて話し合う。

 合意後、野党勢力の戦闘員は、ベイルート国際空港(Beirut International Airport)に向かう幹線道路を封鎖していた障害物の撤去を初め、商業飛行の再開にめどが立った。

 一方、6月10日には国会召集が予定されており、20回目となる新大統領選出が試みられる。前年11月24日に、親シリア派のエミール・ラフード(Emile Lahoud)前大統領の任期が切れ退任してからは大統領不在の状態が続いており、2006年に反シリア派のフアド・シニオラ(Fuad Siniora)首相内閣から親シリア派の閣僚6人が辞任したことから始まった政治危機に拍車を掛けている。

 両者は大統領にミシェル・スレイマン(Michel Sleiman)軍司令官を選出することでは合意しているが、統一政府の詳細や09年実施予定の国民議会選挙に向けた新法案などをめぐっては意見が対立したままだ。(c)AFP/Jocelyne Zablit