【4月29日 AFP】韓国のソウル大学(Seoul National University)の研究チームは29日、北朝鮮からマラリアが急速に拡大し、韓国国内に定着し始めていると警告した。

 研究チームの責任者、Chae Jong-Ilソウル大教授(寄生虫学)によると、かつてマラリアに感染するのは国境警備の兵士がほとんどだったが、最近では一般市民の感染者も同じくらい多いという。

 Chae教授は「マラリア感染者のほとんどが、北朝鮮との国境から10キロ以上離れた村の住民だということを考えると、再発生したマラリアは韓国に定着しつつあるといえる」と指摘し、マラリア対策で韓国と北朝鮮が協力する必要があると訴える。

 韓国でマラリアは根絶したと考えられていたが、1993年に症例が確認され、その後2007年までに合計2万3000例が確認されている。Chae教授は、熱帯地域で発見されるマラリアよりも致死性の低い、三日熱マラリアの流行であることを確認したという。

 韓国は前年、マラリア対策として北朝鮮に対し、治療薬や殺虫剤、検査キット、蚊帳などを提供した。また、資金援助も2001年の53万ドル(約5500万円)から2007年の141万ドル(約1億5000万円)に引き上げている。

 韓国政府によると、2002年に24万1190人だった北朝鮮のマラリア患者は、2006年には9353人に激減しているという。(c)AFP