【4月28日 AFP】毎年、カンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)と平行して行われる監督週間(Directors' Fortnight)の出品作22本が25日、発表された。

 1968年5月、当時の映画祭が映画への情熱を失い、外交状況に左右される国単位のコンテストになっていたことから、映画制作者らが映画祭のあり方を批判し抗議運動を始めた。監督週間は、この運動に端を発している。

 第40回目を迎える今回は5月14日から25日まで開催。監督週間がきっかけで国際的な注目を浴びるようになった、ジム・ジャームッシュ(Jim Jarmusch)、ソフィア・コッポラ(Sofia Coppola)、ポン・ジュノ( Pong Jun-Ho)ら監督たちの姿を追ったドキュメンタリーも上映される。

 オープニングを飾るのは、ポーランドのイエジー・スコリモフスキー(Jerzy Skolimowski)監督の1991年以来となる作品『Cztery noce z Anna(Four Nights With Anna)』。スコリモフスキー監督はこれまでに、『早春(Deep End)』などを監督し、ロマン・ポランスキー(Roman Polanski)監督の長編デビュー作『水の中のナイフ(Knife In The Water)』の脚本も手掛けている。

 そのほか、東欧からの作品としては、スロバキアからの初出品となったJuraj Lehotsky監督の『Slepe lasky(Blind Loves)』、ルーマニアのRadu Muntean監督の長編3作目となる『Boogie』がある。

 ロシアからも初出品となるBakur Bakuradze監督の『Shultes』が上映される。

 アジアからは中国のYin Lichuan監督による『Nin Lang Zhi Nu(Knitting)』とフィリピンのRaya Martin監督による『Now showing』の2作品のみ。『Now Showing』の上映時間は4時間40分にも及ぶため、監督週間運営委員会のOlivier Pere氏は「これは2作分に相当する」と語っている。

 フィリピンからは、パルム・ドール(Palme d'Or)を競い合うコンペティション部門にもBrillante Mendoza監督の『Serbis』が出品されており、今年はフィリピン映画が脚光を浴びている。

 また、監督週間には伝統的にフランス国内から多くの作品が出品されるが、今年、その数は5作品にのぼる。一方、米国からは孤独の善と悪の側面を描いたJosh Safdie監督の『The Pleasure of Being Robbed』の1作品のみにとどまっている。

 映画業界が活況を呈する中南米からは911作品の応募があり、チリとウルグアイから1本づつ、アルゼンチンから2本が出品作に選ばれた。

「大胆さと新しさで突出している作品を選ぶよう心掛けた。世界と未来に対する不安が漂う中、多くの作品がドキュメンタリー風で、政治と詩のはざまをさまようものになっている」とPere氏は語る。

■監督週間出品作一覧

-『Cztery noce z Anna』-イエジー・スコリモフスキー ポーランド

-『Acne』-Federico Veiroj ウルグアイ

-『Aquele querido mes de agosto(Our Beloved Month Of August)』-Miguel Gomes ポルトガル

-『Boogie』-Radu Muntean ルーマニア

-『Les bureaux de Dieu』-Claire Simon フランス

-『Cant dels ocells』-Albert Serra スペイン

-『De la guerre』-ベルトラン・ボネロ(Bertrand Bonello) フランス

-『Dernier maquis』-Rabah Ameur-Zaimeche フランス/アルジェリア

-『Eldorado』-ブーリ・ランネール(Bouli Lanners) ベルギー

-『Eleve libre』-Joachim Lafosse ベルギー

-『Liverpool』-Lisandro Alonso アルゼンチン

-『Monsieur Morimoto』-Nicola Sornaga フランス

-『Nin Lang Zhi Nu(Knitting)』-Yin Lichuan 中国

-『Now Showing』-Raya Martin フィリピン

-『The Pleasure of Being Robbed』-Josh Safdie 米国

-『Resto della notte』-Francesco Munzi イタリア

-『Salamandra』-Pablo Aguero アルゼンチン

-『Shultes』-Bakur Bakuradze ロシア

-『Slepe lasky(Blind Loves)』-Juraj Lehotsky スロバキア

-『Taraneh Tanhayie Tehran(Lonely Tune of Tehran)』-Saman Salour イラン

-『Tony Manero』-Pablo Larrain チリ

-『Le Voyage aux Pyrenees』-Jean-Marie LarrieuArnaud Larrieu フランス

(c)AFP

カンヌ国際映画祭監督週間の公式ウェブサイト(英語)