【4月25日 AFP】(一部更新、写真追加)ホワイトハウスと米中央情報局(CIA)は、24日開かれた議会の非公開公聴会で、前年9月にイスラエル軍が破壊したシリアの核施設の建設などで北朝鮮がシリアに核開発協力を行っていたと指摘するとともに、問題の核施設は軍事目的の原子炉だと非難した。

 ホワイトハウスのダナ・ペリノ(Dana Perino)報道官は公聴会後の声明で、問題の原子炉が平和目的ではないと信じるだけの根拠があると述べた。

 当局者らによると、シリアと北朝鮮の核開発協力は1990年代後半に始まり、原子炉の建設プロジェクトは2001年に始まったとされる。米情報機関は問題の核施設が原子炉であることについては「高い信頼度」が、北朝鮮が建設に関わった点については「中程度の信頼度」があると述べた。ただしプルトニウム製造が核兵器への使用目的であることについては、プルトニウム再処理施設など開発プロジェクトの詳細が不明なため、「低い信頼度」があるとした。

 また、原子炉内部の写真を公開し、原子炉や建物全体の形状が北朝鮮の寧辺(Yongbyon)にある実験用黒鉛減速炉に似ていると指摘した。

 ある情報機関高官は、原子炉は完成間近の07年9月6日にイスラエル軍の空爆で破壊され、ウラン燃料棒の装てんは行われていなかったと述べた。当局者らは、米国が原子炉をめぐる対処をイスラエルと協議していたことを認めたが、空爆はイスラエルが独自に行ったもので、米政府は関与していないとしている。

 ペリノ報道官は、米政府が国際原子力機関(International Atomic Energy AgencyIAEA)にも説明を行ったことを明らかにした。ある当局者は匿名で、米国はIAEAに査察実施を提起する意向だと明かした。

 一方、シリア側はただちに疑惑を否定し、「ばかげた話」と一蹴。駐米シリア大使は、米国が大量破壊兵器の保有疑惑を主張してイラク戦争を行ったことを挙げ、「事実無根の疑惑」だとして国際社会に注意を促した。

 専門家らはこの疑惑が北朝鮮の核問題をめぐる6か国協議にも影響を及ぼすのは必至だとみている。(c)AFP/Olivier Knox