【4月16日 AFP】「バイオ燃料の大量生産は、世界の食糧価格を破壊する『人道に対する罪』である」。国連(UN)の「食糧を守る権利」に関する特別報告官ジャン・ジグレール(Jean Ziegler)氏が14日、ドイツのラジオ番組で発言した。

■食糧用耕地を乗っ取る燃料用穀物生産
 
 独バイエルン放送(Bayerischer Runfunk)のラジオ番組に出演したジグレール氏は、「今日のバイオ燃料生産は人道に対する罪だ」と述べた。

 耕地をバイオ燃料用の穀物生産に使用することで、食糧生産のための耕地が減少してしまうとの指摘は、多くの専門家らが警告している。

■援助計画、貿易政策が第3世界の農業を破壊
 
 番組内でジグレール氏は国際通貨基金(IMF)に対し、農業の助成政策支援を見直し、債務削減を目的とした計画のみに限定した支援を止めるべきだと要請した。

 ジグレール氏は過去に欧州連合(EU)についても、ダンピングによりアフリカの農業に打撃を与えていると非難している。「EUは欧州の余剰農作物のアフリカへの輸出を助成している。アフリカではそうした余剰作物が、EU圏内の生産価格の半分あるいは3分の1程度で取り引きされており、これがアフリカの農業を壊滅に追いやっている。さらに国際市場における農産物への投機を止めなければならない」

■食糧価格高騰から長い暴動の時代へ
 
 フランスの中道左派系新聞「リベラシオン(Liberation)」のインタビューでも、ジグレール氏は世界は「非常に長い暴動の時代に向かいつつある」と述べ、そうした衝突や紛争は食糧不足と食糧価格の高騰に起因すると警告した。

 ドイツの消費者保護団体「フードウオッチ(Foodwatch)」の代表Thilo Bode氏は独国営ZDFテレビに出演し、工業先進国の貿易政策に「致命的」と鋭い批判を向けた。「われわれには異なるエネルギー政策が必要」だと激しく非難する。「飢えている他の人たちの犠牲の上に自分たちのタンクを満たすことは間違ったことだ」(c)AFP