【4月6日 AFP】米国テキサス(Texas)州で5日、児童虐待容疑で捜査対象となっている一夫多妻主義の宗派の信徒らと、信徒らが立てこもるモルモン教の教会に進入を試みる警官隊がにらみ合いとなった。現地報道によると、信徒らは被害者と思われる少女1人を拘束しているとされる。

「教会の敷地内に入るにあたり、警察は最悪の事態も想定し準備している」とアリソン・パーマー(Allison Palmer)地方検事補は、現地紙サンアンジェロ・スタンダード・タイムズ(San Angelo Standard Times)に語った。「誰もが望まない方向」に事件が展開した場合に備えて、医療スタッフも用意するとしている。

 中に拘束されているとみられる少女が話した内容がきっかけで、警察は4日夜、テキサス州エルドラド(Eldorado)にあるモルモン教の分派「末日聖徒イエス・キリスト教会原理派(Fundamentalist Church of Jesus Christ of Latter Day SaintsFLDS)」が所有する施設に対し、大規模な捜索を開始した。この作戦で生後6か月から17歳までの少女52人が保護された。

 しかし、FLDS教徒らは、信者以外の教会への出入りを禁じる教義に則り、テキサス州児童保護局の職員らが教会施設に接近することを拒んだという。
 
 当局は捜査令状を発行して「可能な限り平和的な方法で」信者たちを強制退去させる方針を決定したと、パーマー検事補は明らかにした。

 サンアンジェロ・スタンダード・タイムズによると、50歳の男がある少女(現在16歳)と不法に婚姻・性的関係を結び、生まれた子供が生後8か月になるという報道があり、警察が4日の捜索に踏み切った。同じく現地紙ヒューストン・クロニクル(Houston Chronicle)によるとソーシャル・ワーカーらは、教会施設内にいた52人の少女たちのうち18人について虐待の被害者、または虐待される危険が迫っている者であると認定した。

 モルモン教の主流派は、1世紀以上前に連邦政府から教徒らの開拓したユタ(Utah)州を認定されることと引き換えに、教義だった一夫多妻制を破棄しており、現在は一夫多妻制を実行する信者は破門し、FLDSとの関連を一切否定している。(c)AFP