【3月28日 AFP】ロシア漁業当局は27日、カスピ海(Caspian Sea)沿岸諸国に対し、卵がキャビアとして珍重されているチョウザメの5年間の禁漁を提案する方針を明らかにした。資源保護が目的で、当局によればカスピ海沿岸のアゼルバイジャン、イラン、カザフスタン、トルクメニスタンに対し、近く正式に提案する。

 禁漁措置の理由について当局報道官は、「チョウザメが絶滅の危機に瀕しているため」と説明。乱獲や密漁で個体数が激減したため、前年の漁獲量が年間割当の50トンに届かなかったと述べた。

 また当局が同日、年間10億ドル(約1000億円)規模に上る密漁を防ぐ措置として、チョウザメ漁およびキャビア販売の国営独占企業の設立法案を議会に提出したことも発表。「密漁は利益至上主義の無慈悲なビジネスだ」と批判した。

 新法案には、チョウザメを取り扱う民間企業に対する税控除も盛り込まれており、数日中に議会で検討される。

 魚類で最古種の1つとされるチョウザメは、ほぼすべてがカスピ海に生息している。卵はキャビアとして何世紀にもわたり珍味とされてきたが、環境保護団体はチョウザメが絶滅の危機に瀕していると警告する。

 世界最大規模の民間自然保護団体「世界自然保護基金(WWF)」は今年初め、オセトラ、セブルーガ、ベルーガの各種を含め、カスピ海のチョウザメ生息数は過去数十年間で70%減少したと発表した。

 また、欧州連合(EU)の公式データによると、2000-05年で約12トンのキャビアが不正販売されたが、専門家によればこの数値はカスピ海で密漁されたキャビアのほんの一握りでしかないという。(c)AFP/Dario Thuburn