【3月27日 AFP】バグダッド(Baghdad)のカジミヤ(Kadhimiyah)地区では、イラクのサダム・フセイン(Saddam Hussein)元大統領の時代に使用された拷問道具などが公開展示されている。

 展示の目的を「虐殺された数千人の殉教者に敬意を表するため」と説明するのは企画した元政治犯、バダウィ(Amed Naji al-Badawi)さんだ。

 天井から下がる締めなわ、囚人をはりつけにする台。壁一面に貼られた絞首刑や死体の写真。フセイン政権崩壊から5年たった今でも、これらの品々は訪れた人々に衝撃を与える。

 シーア派のダワ党(Dawa Party)を支援したかどで、最も過酷とされる諜報機関の刑務所に5年間入れられた経験を持つバダウィさん。家族13人も投獄され、兄弟7人は房内で殺害された。

 この展示は、シーア派の暴動発生から17周年を記念するものだ。暴動は湾岸戦争終結直後の1991年3月1日にイラク南部で発生。フセイン政権は暴動鎮圧の際に数千人を虐殺したとされる。

 会場内に垂らされた黒い布には、犠牲者の名前が記されている。1999年に暗殺されたムハンマド・サーデク・サドル師(Mohammed Sadek al-Sadr)の肖像画も掲げられている。

 部屋の中央には、白い経帷子に覆われた1体の人形が置かれている。フセイン時代に殺された子どもたちを表しているのだ。この人形を見て、母親や未亡人たちは泣き崩れるという。

 この5年間の遺体発掘作業で発見された、1000体を超える遺体の所持品を陳列したコーナーもある。くし、IDカード、ロザリオ、くつした、めがねのかけら、血の付いた衣服。フセインの署名が入った逮捕状もある。 

■電気処刑台、拷問ビデオも展示

 展示の中でも最も身の毛がよだつ品とされるのが、電気処刑台だ。表面の皮が摩耗しアイロンが置かれた木製のテーブル。囚人は台に縛り付けられ、電気棒を性器から尿道に突っ込まれた。

 地下室では、囚人が殴打されたり屋根から突き落とされたり爆破されたりといった、拷問の様子を撮影したビデオが映写されている。

 この展示は、国内を巡回する予定となっている。(c)AFP/Herve Bar