【3月25日 AFP】元サッカー選手の英国人有名シェフ、ゴードン・ラムゼイ(Gordon Ramsay)氏(42)が今週、パリのベルサイユ地区にレストランをオープンする。これに先立ち、フランスで最も恐れられているレストラン批評家が辛口の批評を下した。

 英国スコットランド生まれのラムゼイ氏は、パリ(Paris)でギー・サヴォア(Guy Savoy)氏、ジョエル・ロブション(Joel Robuchon)氏などの一流シェフの下で3年間働き、シェフとしての腕を磨いた。

 ラムゼイ氏が店をオープンさせるのは、ベルサイユ宮殿(Chateau de Versailles)を見下ろす豪華ホテル、トリアノンパレス(Trianon Palace)内。姉妹店のビアホールVerandaも合わせた10年のリース契約は、650万ユーロ(約1億円)だ。

「22歳のときパリに来て、世界のトップシェフの下でばりばり働いた」とラムゼイ氏は語る。「フランス料理を教えるために来たんじゃない。戦うためにきたんだ。シェフの視点から言うと、ここ以上に難しく、要求が多く、人気があり、好みがうるさく、気まぐれで、ごう慢な戦場は思いつかない」

 しかし、ラムゼイ氏の銃を乱射するようなアプローチ方法や、テレビ番組内で見習いシェフを汚い言葉でののしる癖は、フランスの朝刊紙フィガロ(Figaro)の料理記者フランソワ・シモン(Francois Simon)氏の不興を買った。同氏はラムゼイ氏のプロジェクトについて、「『ゴードン・ラムゼイ・ランド』というラベルを貼ったブランドの中にいるような感じ」とし、「代わりにビアホールVerandaに行くことをお勧めする。同じような店は何百もあるが」と酷評している。

 シモン氏はラムゼイ氏を「素晴しいシェフ」と認めながらも、同氏のフランス料理の指導者ジョエル・ロブション(Joel Robuchon)氏、アラン・デュカス(Alain Ducasse)氏同様、世界中に展開するミシュランガイドの星を獲得した帝国に少しずつ顔を出し、キッチンはほとんどほかのシェフに任せっきりだと批判している。

 これに対しラムゼイ氏は「気にすると思うか?東京の料理評論家に言ってやったことがある。『すてきなアルマーニ(Armani)のスーツだね。ジョルジオ(Giorgio Armani)が縫ったのかい?』ってね。ニューヨークに出店したときは、10か月でミシュランの星を獲得したよ」と語っている。

 ロンドン(London)のチェルシー(Chelsea)をはじめとする英国内、米国、アジアに飲食店を所有するラムゼイ氏は、合わせて10のミシュランの星を獲得している。パリでも星の獲得を狙うことを隠そうとしない。ただ、「タイムリミットはない」と強調した。

「パリで1つ目のレストランがうまくいったら、間違いなく2件目もオープンする。まずは1件目をきちんとやりたい」と意気込みを語った。(c)AFP/Emma Charlton