【3月24日 AFP】お金で幸せを買うことはできる。ただし、他人のためや社会のために使う場合に限られる-。カナダのブリティッシュコロンビア大学(University of British Columbia)のこうした研究結果が、21日の米科学誌サイエンス(Science)に発表された。

 同大学の心理学者、エリザベス・ダン(Elizabeth Dunn)氏率いるチームは、「もらうよりもあげる方が気分的にいい」という格言の科学的根拠を探るべく、お金を自分のために使う場合、または慈善団体に寄付するなど社会のために使う場合の幸せ指数を計測する3つの実験を行った。

 最初の実験では、米国人630人を対象に、お金を自分のために使った後、またはお金を他人にあげた後の幸せ度を5段階で評価してもらった。すると、お金を他人にあげた人の方が幸せ指数が高かった。

 2つ目の実験では、会社の従業員の3000-8000ドル(約30万-80万円)のボーナスの使い道を調査したところ、社会のために使った額が大きい人ほど幸せ指数も高いことがわかった。たとえば、ボーナスの3分の1を社会のために使った人では、社会のためにまったく使わなかった人よりも、幸せ指数が20%高かったという。ダン氏は、「幸せかどうかは、ボーナスの額ではなく、その使い方で決まる」と語る。

 3つ目の実験では、カナダ・バンクーバー(Vancouver)の大学生に5ドルまたは20ドルを手渡し、これをその日のうちに使うよう指示した。その結果、幸せ指数は、「他人のために使った」グループが「自分のために使った」グループを上回ったと言う。

 以上の実験の結果、他人のためにより多くのお金を使った人で幸せ指数が高いことが立証された。ダン氏は、今回の研究が社会のためにお金を使うという行為が幸せの実質的な原因になることを明らかにしたとしている。

 従来の研究は給料の額と幸せ度の関係に焦点を当ててきたが、今後、ボランティア活動がお金を寄付することと同程度の幸せを導くものかどうかも調査したいと、ダン氏は語っている。(c)AFP