【3月20日 AFP】地球からこぎつね座(Vulpecula)の方向に63光年離れた惑星「HD 189733b」の大気に、メタンと水が含まれることが分かった。太陽系外に生命が存在する可能性が高まった。米航空宇宙局(NASA)ジェット推進研究所(Jet Propulsion LaboratoryJPL)の科学者チームが、19日の英科学誌ネイチャー(Nature)に発表した。

 同チームはこの惑星の大気における赤外部の分光学的特徴を得るために、ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space TelescopeHST)による観測を行った。分光学は光を構成要素に分解し、光が含む化学物質の「指紋」を明らかにする。

 チームはメタン、炭素分子、水素の確たる証拠を発見した。これらは一定の条件下で、生命に適した環境を作り出すのに重要な役割を果たす。

 ただ、HD 189733bに生命がいることはほぼない。同惑星は木星級のサイズの巨大ガス惑星「ホットジュピター」の1つ。表面は摂氏900度の高温で、水が液体の状態で存在できない。恒星との距離は水星・太陽間の距離より近く、2日で恒星の周りを1周する。

 重要なのは、メタンが確認されたことだ。気温が高すぎも低すぎもせず、生命が存在するのに適したいわゆる「ゴルディロックス・ゾーン(Goldilocks zone)」にある惑星にこの技術を応用することもできるかもしれない。

 調査を率いるJPLのマーク・スウェイン(Mark Swain)氏は「これは生物が存在できる惑星での前生物的分子を特徴付けるための重要な足がかりだ」とし「この観測はもっと温度が低く、生命が存在する可能性のある、太陽のような恒星の周りを回る地球サイズの惑星に分光学を応用することができる証拠だ」と指摘している。(c)AFP