【3月19日 AFP】MLBニューヨーク・ヤンキース(New York Yankees)は現地18日、同2007年4月16日に32人の犠牲者を出した銃乱射事件が起きたバージニア工科大学(Virginia Tech University)を訪問し、同大学野球チームのホーキーズ(Virginia Tech Hokies)と追悼試合を行った。

 韓国出身学生のチョ・スンヒ(Cho Seung-Hui)容疑者の凶弾に倒れた32人の犠牲者を追悼した約5500人の観客には、ヤンキースの11-0の勝利は重要ではなかった。試合前には悲劇の犠牲者を象徴する32個のオレンジ色の風船が空に放たれ、試合中にはある犠牲者の姉妹がスタンドで指揮を執っていたヤンキースのジョー・ジラルディ(Joe Girardi)監督を訪れ、地方の山間にあるキャンパスへの訪問に感謝を述べた。ジラルディ監督は「彼女の兄弟は殺された子のうちの一人だったそうで、彼女の母親が我々がここにいることに感謝したいと思っていたそうだ。本当にそれが胸を打った」と目に涙を浮かべその瞬間を振り返った。

 チームの役員と共に同大学のキャンパスでの試合開催を決めたヤンキースのジョージ・スタインブレナー(George Steinbrenner)オーナーもこの悲劇に胸を打たれた一人で、同大学の基金に100万ドル(約1億円)を寄付している。

 試合前の打撃練習には学生に交じり選手のサインを集め、ヤンキースの選手らと写真を撮ったホーキーズのピート・ヒューズ(Pete Hughes)監督は「彼らにとっては一生の経験だ」と語り、ホーキーズの先発投手を務めたKyle Cichyさんは「夢がかなった、100%だ。人生を彼らのように過ごしたいと思うし、彼らと同じフィールドに立っているんだ。ただ、なぜこのゲームに僕等が出場したかを誰も忘れることは無い」と語り追悼の意を表した。

 また、ヤンキースのデレク・ジーター(Derek Jeter)は「このような一回の訪問がどのような助けになるのかと尋ねられる。正直なところは分からないが、我々がここにいることで皆さんが笑って楽しむだけでもその価値はある」と同大学訪問について感想を述べた。(c)AFP