【3月13日 AFP】アイスランド人歌手ビョーク(Bjork)が1日の上海(Shanghai)公演中に、チベット独立を支持する連呼を行った件について、中国政府は13日、国外アーティストは中国で公演をしたければ中国の法律に従わなければならないと警告した。

「訪中する大半の国外アーティストは中国の法律に従ってくれるが、全員ではない」。ビョークの件について質問された周和平(Zhou Heping)副文化相は答えた。「こうしたアーティストが中国の法や中国人の感じ方を理解し、それらに反したことをしないよう願う」と記者に語った。

 前週、文化省はビョークの一件を受け、国外アーティストへの制限を強化する意向を発表している。同省の声明ではまた、ビョークのような行動を取ったアーティストはブラックリストに載せることになると警告した。

 しかし周氏は新たな制限にはまったく触れず、「今回の件は個別の出来事。特に北京オリンピック開催中はこれまでと変わりなく国外アーティストを招請する」と強調。その上で「無礼な言動に関しては批判し続けなければならない」と釘を刺した。

 中国はチベットを不可分の自国の一部とみなしており、チベット統治に関するいかなる異議についても反論している。仏教徒の多いチベットに対し中国は1950年、表向きには「解放」という名目で軍を派遣し、翌51年以来同地域を統治している。

 中国で公演する国外アーティストは、当局による曲のリストの検閲を事前に受けなければならない。しかし、問題となった曲『ディクレア・インディペンデンス(Declare Independence)』(独立を宣言しよう)はもともと、デンマークに属するグリーンランドとフェロー諸島について書かれたものだった。ビョークは上海のコンサートでこの曲の演奏中、数回にわたり「チベット」と叫んだ。
 
 中国では過去に2006年、英ロックバンド、ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)が行った上海のコンサートで、「ブラウン・シュガー(Brown Sugar)」や「ホンキー・トーク・ウーマン(Honky Tonk Woman)」などのヒット曲が「みだら」とみなされ、文化省が演奏禁止を命じたことがある。(c)AFP