【3月12日 AFP】米空軍は11日、世界初のステルス戦闘機、F117ナイトホーク(Nighthawk)を退役させると発表した。

 平面で構成されたくさびのような独特の形状を持つF117は、冷戦時代に厳重に防衛された敵の領空に侵入する目的で極秘に開発され、1989年のパナマへの軍事侵攻の際に初めて実戦に参加した。

 1991年の湾岸戦争の開戦時には、イラクのバグダッド(Baghdad)中心部の標的を攻撃した数少ない戦闘機の1つだ。空軍によると、湾岸戦争では計1300回出撃し、1600の目標を攻撃した一方、1機の損失もなかったという。

 1999年には、北大西洋条約機構(NATO)軍の旧ユーゴスラビア空爆に参加。この時はセルビア軍の地対空ミサイルによって1機が撃墜され、地対空攻撃に対する弱点が明らかになりステルス機に対する評価が落ちたが、2001年のアフガニスタン攻撃やイラク戦争にも投入された。

 しかし、最新鋭のステルス戦闘機F22ラプター(Raptor)の費用を捻出するため退役することになった。製造されたのはわずかに59機で、これまでに7機を失っている。空軍は2006年に初めて10機を退役させ、その後これまでにさらに27機を退役させている。

 残りのF117は来月から同機が最初にテスト飛行した、ネバダ(Nevada)州の試験場で保存される予定となっている。(c)AFP