【3月5日 AFP】オーストラリア国防省が計画していた首都キャンベラ(Canberra)の軍用地からの野生のカンガルー移送に許可が下りなかったことから、同地のカンガルー400匹以上が駆除されることになった。4日、キャンベラ・タイムズ(Canberra Times)紙が報じた。

 キャンベラ・タイムズによると、国防省は、キャンベラのベルコネン(Belconnen)にある旧海軍施設の敷地から、ヒガシオオカンガルー(Eastern Gray Kangaroo)という種類のカンガルーを、隣接するニューサウスウェールズ(New South Wales)州に移送する計画を検討していたが、オーストラリア首都特別地域(Australian Capital Territory)政府は、国防省から提出されていた移送許可申請を却下した。

 その結果、国防省は移送計画を断念し、当初の駆除計画を遂行する以外に選択肢はなくなった。

 動物保護団体「Wildlife Protection Association」代表のパット・オブライエン(Pat O'Brien)氏は、2004年にキャンベラの給水源のダムでカンガルー約900頭が駆除された際に国際的な抗議の声が上がったことを引き合いに、新たな大量駆除は「国内の著しい抗議行動」を引き起こすことになると警告した。

 地元環境当局のマクシーン・クーパー(Maxine Cooper)氏は、ベルコネンではカンガルーが異常繁殖しているとされるものの、移送については専門家から「非人道的」との見解が示されたことから、勧めなかったと話した。移送では、カンガルーに鎮静剤の矢を撃つなどの手段が用いられる。

 前年、同地のカンガルーの扱いをめぐって政界で論争が起きたことから、国防省はカンガルーの移送を検討する間、駆除計画を保留していた。(c)AFP