【2月26日 AFP】(一部訂正)かつて北米大陸の大部分を覆っていた氷床が海に溶け出して巨大な湖ができ、以降数百年にわたり地球の温度を下げた事象がどのように起こったかを解明したとする研究が、カナダの地質学者らによって24日の英科学誌「ネイチャー・ジオサイエンス(Nature Geoscience)」に発表された。

 最終氷期、カナダと米国の大部分を覆っていたローレンタイド氷床(Laurentide Ice Sheet)は、一部地域では3キロほどの厚さがあったという。

 約1万年前、徐々に気温が上がるとともに氷が後退していくつかのくぼみを削りだし、これが後に五大湖(Great Lakes)と呼ばれるようになる。薄い氷の下には、カナダのマニトバ(Manitoba)州、サスカチワン(Saskatchewan)州、オンタリオ(Ontario)州、米国のノースダコタ(North Dakota)州、ミネソタ(Minnesota)州の一部を覆うほど巨大な湖、Agassiz-Ojibwayが形作られた。

 その後、いまから約8200年前、Agassiz-Ojibwayはハドソン海峡(Hudson Strait)とラブラドル海(Labrador Sea)に向かって大量に流れ出した。この水量は、現在のアマゾン川の流量の15倍にも相当するという。推計によると、これにより海面は14メートル上昇した。

 この大規模な洪水がどのように発生したかについては議論の的となってきた。氷のダムが崩壊したという説や、氷床の上から水があふれ出したとする説もある。

 これに対し、カナダのケベック(Quebec)の地質学者、Patrick Lajeunesse氏とGuillaume Saint-Onge氏は、洪水は氷床の上やそれを突き抜けて起こったのではなく、その下で起こったと考えている。

 両氏はハドソン湾(Hudson Bay)で船による調査を実施。超音波探知機を使って1万500キロにわたり湾の底の様子を撮影した。

 調査により、湾の南の砂状の海底に、長さ900キロ以上、深さ約1.7メートルの波状の痕跡があることが分かった。これは、巨大な氷に覆われていた湾の底で大規模な流れが発生し、その後安定したことを示しているという。

 また、湾の西の深さ80-205メートルの地点で、3メートルほどの放物線状の跡が北東にむかってよじれている様子が観測された。両氏は、この部分では大規模な流れにより氷山が流され、その荒い先端が海底にひっかかって軸のように振る舞い、放物線状の跡を残したとみている。

 研究は「ローレンタイド氷床は洪水の勢いで持ち上げられ、その下を水が移動した」ことを示唆している。

 また、北大西洋に真水が流れ込んだことで海水の塩分濃度が大きく下がり、これにより熱帯地域から温帯地域への熱の流れが遮られたという。これにより西欧では200-400年にわたり気温が3度以上下がったという。(c)AFP