【2月23日 AFP】世界的に有名なアカデミー賞の黄金像、通称「オスカー」は、今年で誕生から80年目を迎える。だが、その呼び名の起源は謎とされている。

■誕生から80年間、形は初代と同じ

 この像の正式名称は「Academy Award of Merit」。映画推進団体、映画芸術科学アカデミー(Academy of Motion Picture Arts and Sciences)が、1927年に創設された直後に、映画界の男優、女優、監督の業績をたたえるトロフィーとして考案したものだ。

 当時のMGMアートディレクター、セドリック・ギボンズ(Cedric Gibbons)がデザインを担当。フィルムリールの上に立ち、両手で剣を握る騎士の像ができあがった。

 初期のオスカー像はブロンズ製だったが、金属が不足していた戦時中は石こうで作られ、その後現在の金メッキに変わった。高さ34センチ、重さ3.85キロのこの像は、1945年に台座が高くなったこと以外、形は誕生当初のままだ。

 第1回目のアカデミー賞授賞式は1929年5月16日にハリウッド・ルーズベルト・ホテル(Hollywood Roosevelt Hotel)で開催された。270人が参加した晩さん会形式の授賞式は、初代アカデミー会長の俳優ダグラス・フェアバンクス(Douglas Fairbanks)が15のオスカー像を受賞者に手渡すと、わずか15分で終了した。

 その後、授賞式の規模は戦時中の例外を除いて毎年も拡大し、豪華になっていく。これまでに授与されたオスカーの数は2500個。第80回アカデミー賞授賞式のセレモニーでは50個のオスカー像が授与される。

■有力なのは、「オスカーおじさん」説

 一説によると、アカデミーの事務局員でのちにエグゼクティブ・ディレクターとなったマーガレット・ヘリック(Margaret Herrick)氏が、「この像はわたしの叔父さんのオスカーに似ている」と言ったことから、アカデミーの職員が像をオスカーと呼ぶようになったという。

 このほか、受賞者でもある女優のベティ・デイヴィス(Bette Davis)は、この像の後部が当時の夫だったハーモン・オスカー・ネルソン(Harmon Oscar Nelson)氏の後ろ姿に似ていたことから、オスカーと呼ぶようになったという説もある。

 コラムニストのシドニー・スコルスキー(Sidney Skolsky)氏は1934年、キャサリン・ヘプバーン(Katharine Hepburn)の初の主演女優賞について書いた記事の中でオスカーという名前を使っているが、アカデミーは1939年まで公式にはこの名前を使用していなかった。(c)AFP