【2月17日 AFP】米大統領選の民主党候補指名争いで17日、州ごとの予備選挙・党員集会で割り当てられる代議員とは別に選ばれる「特別代議員」、さらに予備選の日程を前倒ししたために代議員資格をはく奪された州の取り扱いを巡り、ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)上院議員とバラク・オバマ(Barack Obama)上院議員が火花を散らしている。

■特別代議員は民意に添うべきか

 特別代議員は党員や上下両院議員などのメンバーから構成され、全米で795人いる。8連敗中のクリントン陣営は、特別代議員は州の投票結果に左右されないとの姿勢を示す。

 ワシントン・ポスト(Washington Post)紙によると、19日に予備選が行われるウィスコンシン(Wisconsin)州でクリントン氏は16日、「特別代議員は独自の判断をするよう求められている」と語った。19日にはハワイ(Hawaii)州でも党員集会が行われる。

 クリントン陣営は、オバマ氏が予備選挙・党員集会で大多数の有権者の支持を集めたとしても、特別代議員がクリントン氏を支持することは可能だとの見解を強調した。

 一方、代議員数でわずかにクリントン氏を上回るオバマ氏は、特別代議員は、全米の予備選・党員集会で最多の代議員を獲得した候補者を支持すべきだと主張している。同陣営としては、19日のウィスコンシン、ハワイ両州で勝利を収め、弾みをつけたいところだ。 

■代議員はく奪は正当か

 クリントン氏の側近の1人、ハロルド・アイクス(Harold Ickes)氏は報道陣に対し、特別代議員は「党と国の利益のために最善の判断」を下すべきだと述べた。また、6月7日に各州での予備選挙・党員集会が終了した時点では「(クリントン氏は)オバマ氏と五分五分」との予測を披露し、最終的に「党代表を勝ち取る」と自信を示した。

 アイクス氏はまた、全国委員会の指示に反し予備選の日程を繰り上げたために代議員資格をはく奪されたミシガン(Michigan)、フロリダ(Florida)の2州についても、代議員資格を復活させるべきだと指摘。

 オバマ陣営は即座に、クリントン氏は民意をないがしろにするつもりだと反撃。選挙戦責任者デービッド・プラウフ(David Plouffe)氏は電子メールで、「クリントン陣営は予備選挙・党員集会を通じて代議員を獲得することに集中すべきた。本選挙で民主党の勝利を危うくするような戦略を持ち出してくるべきでない」と述べた。

■今後の展開は

 両候補が選挙戦を展開するウィスコンシン州の有権者は、白人の労働者階級が大多数を占める。これまでと同様、2つの世論調査ではオバマ氏が4ポイントリードしている。同州の代議員数は74人。ハワイ州でも、同州で生まれ育ったオバマ氏が優勢とみられる。代議員数は20人。

 独立系ウェブサイトRealClearPoliticsの集計によると、これまでにオバマ氏が獲得した代議員数は1296人で、クリントン氏の1238人を上回る。8月にコロラド(Colorado)州デンバー(Denver)で開かれる党大会で指名を獲得するには、最低2025人が必要。

 代議員数が接近しているため、特別代議員の重要性が増している。一方で、長引く党候補争いが党内の分裂を招きかねないとの懸念も広がりつつある。

 一時は圧倒的な支持率を誇っていたクリントン氏は、3月4日の大票田オハイオ(Ohio)州、テキサス(Texas)州でオバマ氏の独走阻止を狙う。最近の世論調査はクリントン氏優勢を示しているものの、これまでの戦いから見るとオバマ氏の巻き返しも十分あり得る。(c)AFP/Charlotte Raab