【2月12日 AFP】スイスのジュネーブ(Geneva)にある国連(UN)本部で開催中のジュネーブ軍縮会議に出席しているロシアのセルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相は12日、宇宙兵器配備禁止に向け、中国と共同で条約案を提示した。

 ラブロフ外相は「宇宙での軍拡競争を防止しないことには、国際安全保障は実現されない。宇宙軍拡競争の防止を議題として提案する。今こそこの分野の実務的な検討を開始すべき時だ」と述べた。

 前年1月に中国が衛星攻撃兵器の実験を行って以来、宇宙を舞台にした軍拡競争への国際的懸念が高まっていた。米国もすでに、レーザー兵器や衛星攻撃ミサイルの開発を含む対衛星兵器開発計画を持っている。

 1967年に締結されたいわゆる宇宙条約(The Outer Space Treaty)は、核兵器や大量破壊兵器を含む軍事兵器の軌道および月への配備を禁止しているが、衛星への攻撃は禁止していない。

 ラブロフ外相は「一国でも宇宙への兵器配備を行う国があれば、間違いなく連鎖反応が起きる。その結果、宇宙だけではなく地球上でも、新たな軍拡競争が始まるだろう」と警告した。

 さらに外相は、米国が欧州で計画中のミサイル防衛システムに対する批判をあらためて繰り返した。米国は現在、2012年をめどにポーランドに迎撃ミサイルサイト10か所、チェコに迎撃ミサイル用のレーダー基地をそれぞれ配備する計画を進めている。米政府はこれを、イランをはじめとする「無法国家」による攻撃に対する防衛システムとして必要だと主張している。(c)AFP/Fabrice Coffrini