【2月11日 AFP】(一部更新)シンガポールに建設された世界最大の観覧車「シンガポール・フライヤー(Singapore Flyer)」が11日夜、稼働を開始する。「処女運行」は建設を担当したグレート・ホイール(Great Wheel)の顧客向けで、料金は8888シンガポールドル(約67万円)だという。

■高さ世界一の新世代観覧車

 観覧車の高さは42階建てのビルに相当する165メートル。英国の「ロンドン・アイ(London Eye)」より30メートル高く、同国の新観光名所になりそうだ。

 オープンから3夜分のチケットはすでに完売。シンガポール・フライヤー運営責任者のデビッド・ビーバーズ(David Beevers)氏によると、4月15日の正式オープンまで、600-1000組が先行イベントに訪れる見通しだという。

 窮屈な古いタイプの観覧車とは違い、シンガポール・フライヤーの観覧席は「カプセル」状で、市内バス程度の大きさの28人乗り。カプセル内はエアコン完備で、乗客はカプセル内を歩いて移動することができ、30分の乗車時間中に揺れなどを感じることはないという。1時間当たり1000人を乗せることができ、年間1000万人前後の利用を見込んでいるという。

 グレート・ホイールによると、一般の利用料は29.50シンガポールドル(約2200円)で、360度のパノラマからはシンガポール国内だけでなく視界の良いときは45キロ先まで見渡すことができ、隣国のマレーシアやインドネシア領内も見えるという。飲食代を含む高い料金設定のチケットもある。

 同社は、中国の北京(Beijing)とドイツのベルリン(Berlin)にも観覧車を建設中で、2年後のオープン時にはシンガポール・フライヤーをしのいで世界最大になるという。同社のFlorian Bollen会長は、世紀の変わり目にオープンしたロンドン・アイが新世代観覧車の第1号だったと語る。

■政府が全面支援

 事業費約2億4000万シンガポールドル(約180億円)のシンガポール・フライヤー・プロジェクトは主にドイツの投資家からの支援を受けた民間ベンチャー事業だが、強力な市場調査の下、政府観光局からの支援を受けているという。

 シンガポール・フライヤーは黒川紀章建築都市設計事務所(Kisho Kurokawa Architects and Associates of Tokyo)とシンガポールのDP建築設計事務所(DP Architects)が設計し、三菱商事(Mitsubishi)・竹中工務店(Takenaka)コンソーシアム(共同企業体)が施工した。(c)AFP/Ian Timberlake