【1月20日 AFP】南極海で日本の調査捕鯨の妨害を試みている米環境保護団体「シー・シェパード(Sea Shepherd Conservation Society)」は20日、同じく国際環境保護団体のグリーンピース(Greenpeace)が日本の捕鯨船団の位置を知らせることを拒んだため、グリーンピースを「見掛け倒し」だと非難した。

 シー・シェパードは18日、日本の調査捕鯨船から解放されたメンバー2人を引き取る際、仲介したオーストラリアの巡視船に乗っていた政府関係者に海域からの退去を命じられた。同団体の船「スティーブ・アーウィン(Steve Irwin)」のポール・ワトソン(Paul Watson)船長によるとその結果、同船は日本の捕鯨船団を見失った。

 グリーンピースは自身の船「エスペランサ(Esperanza)」で捕鯨母船「日新丸(Nisshin Maru)」を追跡しているが、その位置をシー・シェパードに伝えることを拒否したという。

 グリーンピース側は団体の方針として情報提供を拒否したと主張しているが、ワトソン船長はクジラの安全よりも資金集めを優先していると非難。グリーンピースは「見掛け倒し」だと断じた。

 ワトソン船長は、「グリーンピースはクジラの殺りくの映像が必要なのだ。毎年そうしている。注意深く彼らを見ると、実際の活動よりも広告に多額を投じている」と批判した。

■グリーンピースの戦略

 グリーンピースの広報、サラ・ホールデン(Sara Holden)氏は、この批判を「くだらない」と切り捨て、母船を船団から引き離すというグリーンピースの作戦は功を奏していると主張した。

 ホールデン氏は「グリーンピースがこの海域に来た第1目的は捕鯨を中止させること。シー・シェパードと協力することはない。グリーンピースは通常、船の位置を外部に知らせない」と語った。

 同氏によると鯨肉加工工場を備えた母船がなければ、捕鯨船だけでクジラを捕獲することは実質不可能だという。「鯨肉は素早く加工する必要がある。捕獲調査船から母船への速やかなクジラの移動が確約できなければ、捕鯨はできない。われわれの行動に派手さはないかもしれないが、非常に効果を上げている」と自信を示した。

 同氏はシー・シェパードは暴力的な抗議活動を行っているため、グリーンピースが協力することはないという。シー・シェパードは暴力を推奨していないと主張しているが、これまで船舶に体当たりしたり、ワトソン船長もかつて捕鯨船を沈没させたと豪語するなどしてきた。

 グリーンピースは依然、日新丸を目視できる位置で追跡しているとするが、ホールデン氏は、本当の戦いは東京で行われていると主張。同氏によると、保守派の中でさえ毎年の調査捕鯨の意義を疑問視する見方が出始めるなど、日本政府の中にも態度の変化の兆候が見られるという。(c)AFP