【1月11日 AFP】世界最高峰エベレスト(Mount Everest)の登頂に世界で初めて成功し、11日に死去したエドモンド・ヒラリー(Edmund Hillary)卿は、生前数々の名言を残した。そのいくつかを紹介する。

■エベレスト制覇の感慨

「あいつを打ち負かしたよ」
 エベレスト初登頂時、シェルパを務めたテンジン・ノルゲイ(Tenzing Norgay)氏とともに山頂から下山し、登山隊員らに最初に告げた言葉。

「雪に覆われた平らな場所に向かい登り続けた。到達すると、そこには、何もない空間だけが一面に広がっていた。後に続いたテンジンとともに驚異の面持ちで周囲を見回していると、途方もない満足感が押し寄せ、われわれが世界の頂上に到達したのだと悟った」
 著書『View From The Summit(山頂からの眺め)』に記されたエベレスト山頂に到達したときの様子。

■偉業もさらり

「自分は神ではない。だから他人がどう思おうと気にしない」
 インド人記者に、多くの人がヒラリー卿を神だと思っていることを知っているかと聞かれて。

「実用的な技術に加えて、たくさんの『ナンバー8ワイヤー(No. 8 wire)』があったからね」
 ヒラリー卿が創設した「ヒマラヤ基金(Himalayan Trust)」によって多くの学校、病院、診療所が建設された理由について。
(「ナンバー8ワイヤー」はニュージーランド特有の言い回しで、フェンスを作る際に用いる8番の針金と工具があれば、なんでも自分たちで作れるとの意味)

「自分に『エド坊や、ついにやったね』と言ってやった」
 1958年に、車両で初めて南極点に到達するという偉業を成し遂げた際の言葉。

■栄誉も気負わず

「ボロボロのオーバーオール姿で『これはもうだめだ。新しいオーバーオールを買わないと』と考えながら、パパクラ(Papakura、ニュージーランドの都市)の通りを歩いている自分が目に浮かぶよ」
 英エリザベス女王(Queen Elizabeth II)からナイトの称号が授与されることが決まって。

■不快感は率直に

「不快に思うし意地の悪いことだ」
 1924年のエベレスト登頂時に消息を絶った英登山家ジョージ・マロリー(George Mallory)氏の遺体が米登山隊により発見され、遺体の写真が公開されたことに対して。

■「人生のまっとう」という偉業に際して

「生まれ故郷近くの浜辺に優しく打ち上げられて心地よく波に洗われたい。そうして、わたしの全人生が完結するんだ」

 死後は遺灰をオークランド(Auckland)のワイテマタ(Waitemata Harbour)沖にまいてほしいとの希望の理由を聞かれて。(c)AFP