【1月10日 AFP】イラクのスンニ派武装組織「イラク・イスラム軍(Islamic Army in Iraq)」は、米軍との闘争開始から4年たった今、イラク最強の民族主義組織として台頭している。

■「一般市民を守る」純イラク人組織

 イラク・イスラム軍は2004年に結成された。メンバー全員がイラク人で、大半のメンバーはスンニ派のイスラム教徒。旧サダム・フセイン(Saddam Hussein)政権時代の支配勢力バース党(Baath Party)の元党員や同政権の元高官も含まれる。

 国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)と同様、ウェブサイトを利用して扇動的なビデオメッセージをほぼ毎日投稿している。「ジュバ(Juba)」と名乗る狙撃手が米兵やイラク治安部隊員を殺害する一部始終が撮影された映像が前年からインターネットに掲載されているが、これもイラク・イスラム軍が投稿したものだ。

 同組織はこれまで他の反米武装勢力と同様に、正当な標的として「占領軍」とみなす米軍やイラク治安部隊に多数の攻撃を加えてきた。「イランの工作員」と呼ぶイラク軍や警察官も標的としており、イラク・イスラム軍は「イスラム教シーア派を特別に狙っているわけではない」と主張している。

 Ibrahim al-Shimmari報道官は同組織の活動理念について「罪のない一般市民を守ること」とした上で、自爆攻撃は行わないと主張する。しかし外国人を何人も拉致し、うち2人を拘束中に処刑したこともある。米政府は同組織をテロ組織に指定した。

■アルカイダとの共同戦線を解消

 2005年まではアルカイダと共同戦線を張っていたが、その後は敵対。現在は衝突を繰り返している。

 一方で2007年4月、イラク・イスラム軍はムジャヒディン軍(Mujahedin Army)、Fatihin Army、アンサール・スンナ軍(Ansar Al-Sunna)の造反分子との共同組織Reform and Jihad Frontを立ち上げている。

 この組織は2007年10月、イラク国内で活動しているイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)、Islamic Resistance Frontと共同で政治部門を立ち上げ、軍事・政治両面で米軍撤退へ向けた活動を始めた。

 専門家によると、イラク・イスラム軍は最大の組織力を持ち、反米ゲリラ組織の中心的存在となっている。イラク全土にメンバーがおり、首都バグダッド(Baghdad)と、アンバル(Anbar)、ディヤラ(Diyala)、サラハディン(Salaheddin)の各州を中心に活動しているという。(c)AFP/Herve Bar