【1月8日 AFP】大統領選挙の結果をめぐり暴動が続くケニアで、大統領選に敗れた有力野党候補のライラ・オディンガ(Raila Odinga)氏は7日、国際社会の仲裁活動が本格化してきたことを受け、同国全土で行われていた抗議活動を中止すると発表した。事態の鎮静化に向けムワイ・キバキ(Mwai Kibaki)大統領側から直接会談の提案が出されるなか、前年12月27日以来続いている暴動の死者数は600人以上に達している。

 野党側は8日にも首都ナイロビ(Nairobi)で抗議集会を予定していたが、新たな国際的仲裁活動が開始され、野党側と再選が決定したキバキ大統領側の双方に対する譲歩への圧力が強まったことから、オディンガ氏は集会の中止を決定したとみられる。

 また、オディンガ氏は、アフリカ連合(African UnionAU)主導による仲裁協議が9日に開始されることも明らかにした。これに関し、ガーナのジョン・クフォー(John Kufuor)大統領の側近も、AU議長と同大統領が9日に仲裁のためケニア入りすることを明らかにしている。

 さらに、ケニアの大統領報道官は7日、キバキ大統領が大統領選挙後初めてとなる直接会談を行うためオディンガ氏を招請したとする声明を発表した。会談は、ほかの5つの党の指導者も参加して11日午後2時30分(日本時間同日午後8時30分)に行われる予定で、事態の沈静化や国民融和について話し合われるという。

 一方、ケニア入りしている米国のジェンダイ・フレーザー(Jendayi Frazer)国務次官補(アフリカ担当)は7日、ナイロビで記者団に対し「ケニア国民は自国の政治指導者たちや国家機関に裏切られた」と語り、同国政府を非難した。

 国際社会による仲裁が本格化するなか、暴動による死者数は依然として増え続けている。地元警察当局幹部は、「少なくとも600人以上が死亡している。衝突が発生した地域の茂みの中などには、まだ遺体が放置されている」と語り、暴動による死者が劇的に増えていることを明らかにした。

 国連(UN)機関からは集団虐殺の様相を呈しているとの声もあがっている。また、これまでに約25万人が避難を余儀なくされているという。(c)AFP