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ケニア暴動、このまま国家崩壊か?

2008年1月4日 1:05 発信地:ナイロビ/ケニア

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ケニア暴動、このまま国家崩壊か?
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2008年1月2日、ケニア西部のエルドレット(Eldoret)付近で起きた、暴徒による放火事件の現場を歩く地元の住民。(c)AFP/TONY KARUMBA
【1月4日 AFP】(1月9日 一部更新)観光業で繁栄し安定した国家というケニアのイメージは、大統領選の結果をめぐる混乱で壊れ始めている。ただ、専門家の中には、大量虐殺の悲劇が起こったルワンダのような事態には発展しないとの見方もある。

 なたを振り回し、民族間で殺害が繰り返され、対立する政党からは「大量虐殺」や「民族浄化」だとの声が挙がる状況は、ケニアが「血の海」に沈む幻影を想起させる。

 強硬政治にいら立ちを覚えた住民が暴徒化、国全体が「炎上」している。同国のメディアは、政治的解決がなされなければ、多くの隣国を破滅に追いやった民族紛争に発展する可能性があると警告した。

 これに反して専門家は、ケニア社会に数多く内蔵された制御装置が、東アフリカの大国である同国を混乱から救うことができると分析する。

■多民族が混乱抑制要因か

 2003-06年、駐ケニア米大使を務めたMark Bellamy氏は、「ケニアの民族構成の特徴は多様性。ルワンダやブルンジとは異なる」と指摘する。

 1990年代に民族紛争から数十万人が犠牲となったルワンダとブルンジは主にフツ(Hutus)とツチ(Tutsis)から成るが、ケニアでは少なくとも42の民族が存在している。

 不正操作の疑惑を持たれながらも前週再選を果たしたムワイ・キバキ(Mwai Kibaki)大統領は、キクユ(Kikuyu)出身。ケニアでは最近、キクユが政財界を支配してきた。

 キクユは、人口3700万人のケニアにおける最大民族であるが、全人口の22%を占めるにとどまっている。これは、ほかの民族を差し置いて完全に支配できる民族はないことを意味する。

 専門家の中には、前年12月27日の疑惑の投票によりケニア全土に広がっている暴動は、信用失墜というよりは、羽化した民主主義が成人期を迎えた痛みだと指摘する人もいる。

■政治家らの資金源は国内に

 ケニアの弁護士で政治評論家のJohn Otieno氏は、「皆が民族間の争いとみているが、そうではない。絶対権力を有する政府は存在しないという事実を含めた、国民の権利を実現している社会の問題なのだ」と強調する。

 Bellamy氏は「キバキ氏も選挙で敗れたルオ(Luo)出身のライラ・オディンガ(Raila Odinga)氏も、民族紛争をかき立てようとはしていない」と語る。

 ケニアの政治学者Mary Mutua氏は、野党を率いるオディンガ氏は、近く政策を転換すると予測。「死者が増加することで、オディンガ氏は孤立し、国民が彼を英雄とみなすことができるような方法で、混乱を解決しようとするのでは」という見方を示している。

 またほかの専門家は、ケニアには政治家たちが外に向かって「ふていな冒険」に打って出られない障壁があるという。それは「政治家たちの利害関係が国内にあって海外にない」という点だと指摘。

 ある駐ナイロビ外交官は、「ケニアの有力者らは国内に資金を有しており、それが、同国を崩壊させようとはしない理由だ」と解説する。(c)AFP/Jean-Marc Mojon
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