【1月1日 AFP】ケニアで現職のムワイ・キバキ(Mwai Kibaki)大統領の再選を機に同国全土で暴動が発生している事態をうけ、各国政府は同国への渡航延期を呼びかけている。

 同国大統領選では、27日に投票が行われ、30日に選挙管理委員会が現職のキバキ大統領の当選を発表した。しかし、選挙に不正があったとし選挙結果に抗議する野党支持者が、警官隊と衝突。これが各地で大規模な暴動に発展し、これまでに少なくとも251人が死亡した。

 こうした事態をうけ、英国外務省は、主に都市部の中心地で散発的な暴動発生が見られるとして、ケニア在住の英国人に対し、外出を控えるか、外出の必要がある場合には地元当局に事前に連絡するよう呼びかけた。

 特に危険が予測される地域として同政府は、首都ナイロビ(Nairobi)、キスム(Kisumu)、カカメガ(Kakamega)、ケリチョ(Kericho)、エルドレット(Eldoret)やモンバサ(Mombasa)市内各域を挙げている。

 米国務省も、ケニアの治安現状は不安定かつ予断を許さない状況にあるとして、米国民に対し同国への渡航を延期するよう警告した。

 このほか、フランス、オーストリア、デンマーク、イタリア、オランダ、ポルトガル、スウェーデン政府なども、緊急性を伴う用件以外でのケニアへの渡航を見合わせるよう呼びかけた。また、現地に滞在中の自国民に対しては、集会など人が多く集まる場所へ近づかないよう勧告した。

■旅行会社もツアー中止

 政府の渡航注意勧告をうけ、各国旅行会社もケニアへのツアーを延期したりケニア便をキャンセルするなどの措置をとっている。

 ドイツの旅行大手TUI広報は、「ナイロビ経由のサファリツアーやケニアのビーチでのミニツアーなど、全てのケニア向けツアーを2日まで中止した」とAFPに語った。同社では、引き続きケニアの治安状況を見守っていくという。

 一方、英ロンドン(London)の旅行大手Kuoniも、一部の現地ツアーをキャンセルした。「現地滞在の観光客の無事は確認しており、そのまま滞在を続けてもらっているが、現地ツアーの一部はキャンセルすべきだと判断した」と述べた。英国旅行業協会(Association of British Travel AgentsABTA)は、これまでに英国人が暴動に巻き込まれたとの報告はないとしているが、各旅行業者はケニア向けの観光客には注意勧告を行っているという。また、現地の状況を注視し悪化した場合は適切な措置をとるとしている。(c)AFP