【12月28日 AFP】フランス屈指の名シェフ、アラン・デュカス(Alain Ducasse)氏が22日、エッフェル塔(Eiffel Tower)の地上123メートルの高さに設けられたレストラン「ジュール・ヴェルヌ(Jules Verne)」を新装オープンした。

 現在、世界各地で展開されているデュカス氏のレストランは22店。高級レストランガイド「ミシュラン(Michelin)」で計15の星を受けており、食通の間ではこの新レストランに注目が集まっている。予約はすでに数週間先までいっぱいだという。

 レストラン中央に設けられたコンパクトなキッチンでは、常時13人のシェフが130人に給仕するために腕を振るう。デュカス氏が「船内のキッチンか航空機内の客室のようだ」と表現する、このキッチンの改装工事にも、舞台裏ではさまざまなドラマが展開されていたようだ。

 4か月にわたる改装工事ではまず、塔内にあった旧レストランの内装が分解され、それぞれのパーツが計量された後、面積わずか4平方メートルの業務用エレベーターで地上に運ばれた。エッフェル塔の管理会社SETEは「既存の構造を保護するため、少しでも重さを増やすことは許されなかった。間仕切り壁から飾り天井、いす、じゅうたんに至るまですべての重さを考慮しなければならなかった」と語る。続いて、新しい部材が計量・計測され、時には小さく分解されてレストラン階に運ばれ、レゴブロックのように組み立てられた。最終的には、重量の合計は以前より40キロ減ったという。

 また、キッチンスペースを節約するため、果物や野菜の皮むき、魚のうろこ取りなどの下準備は、47人の料理人が地下に設けられた調理場で行い、作業用エレベーターでレストラン階まで運ばれる。「下準備はお昼までに済ませないといけないんだ。エレベーターが込んでしまうからね」と従業員の1人は語る。

 以前のレストランが閉店した8月からの4か月間、年間700万人に上る観光客の妨げとならないよう、デュカス氏のチームは夜間に働かざるを得なかったことも多かったという。(c)AFP/Claire Rosemberg