【11月28日 AFP】米国メリーランド(Maryland)州アナポリス(Annapolis)で27日に開催された中東和平国際会議は、2008年末までに和平合意を目指すことでイスラエル、パレスチナ両首脳が合意し、閉幕した。


■運営委員会で核心問題を予備討論

 米国主導の同会議で発表された両者の覚書きによると、最初のステップとして「未解決のすべての問題を解決し、和平協定を締結するため」、高官レベルの運営委員会を12月12日に開催する。委員会の議長はイスラエルのツィピ・リブニ(Tzipi Livni)外相と、パレスチナ自治政府のアハメド・クレイ(Ahmed Qorei)前首相が共同で務める予定だと、イスラエル政府高官は述べている。

 委員会ではまず、エルサレム(Jerusalem)の帰属問題や将来的なパレスチナ国家建設、またパレスチナ難民の帰還など、論争となっている核心的な問題について予備的な討論を行う。アナポリスで発表された共同声明によると、2008年を通して継続的に会合を重ねるとしている。


■両首脳による隔週会合、パレスチナ援助に国際調整

 また声明では、同じく2008年を通じ、エフド・オルメルト(Ehud Olmert)首相とマフムード・アッバス(Mahmoud Abbas)パレスチナ自治政府議長が隔週で会談を継続し、和平プロセスの進捗状況を確認することで合意したとも発表された。

 さらに、パレスチナ国家樹立による二国家共存を解決法として目指す中東和平案(ロードマップ)の履行を検証する機構を設立する意向についても合意が示された。

 イスラエル高官によると、両者は現在、ロードマップの仲裁役を米政府高官に打診中だという。

 国際会議では、テロリズムの抑制に失敗し続けているパレスチナ側、ユダヤ人入植地建設を停止する気配のないイスラエル双方に批判があがった。

 ある欧州外交官は対パレスチナ支援について、12月17日周辺に支援国・機関の国際会議をパリで開催し、今後3年のパレスチナ援助計画について調整する予定だと述べた。


■ロシアも仲介に一役か

 中東和平4者協議(中東和平カルテット、Middle East Quartet)特使のトニー・ブレア(Tony Blair)英前首相は現在、将来における独立国家としての存続性を念頭に、パレスチナの諸機関・制度の構築を監督している。

 2008年1月中旬には、今回のアナポリス会議に引き続き、ロシアが会議の開催に乗り出すだろうとも複数の高官が語っている。ロシアのセルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相は「当事者、つまりイスラエル、パレスチナ、アラブ連盟の間に、今回の会議の続きをモスクワ(Moscow)でという希望があれば、代表団を喜んで迎えたい」と語った。

 あるアラブ外交官は、モスクワで会議が開かれた場合、米国政府はパレスチナのみならずイスラエルの安全を確保するため、中東和平プロセスにおけるシリアとレバノンの役割について検討したい意向だと明かした。


■60年の紛争解決は1年で可能なのか

 すべての工程が円滑に進めば、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領の任期が終了する2009年1月までに、イスラエルとパレスチナ間で交渉妥結を発表する段階に至るとされる。
 
 ダナ・ペリーノ(Dana Perino)米大統領報道官は、2008年の日程しだいでブッシュ大統領が中東訪問を検討していることを明らかにした。同報道官は、今年8回の中東訪問を重ねたコンドリーザ・ライス(Condoleezza Rice)米国務長官が、今後も実際の訪問や支援も含め、責任ある役割を負っていくだろうと述べた。

 しかし、ブッシュ大統領はアナポリスの会議で各国・地域指導者らに、自分は「電話1本の距離しか離れていない」と強調したという。ペリーノ報道官によると、今回の国際会議にアラブ地域から数多くの代表が参加したのは、ブッシュ大統領がアラブ指導者たちへ多くの電話をかけたからだと付け加えた。(c)AFP