【11月17日 AFP】スペインのバレンシア(Valencia)で開かれた国連(UN)の「気候変動に関する政府間パネル(Panel on Climate ChangeIPCC)」の総会は17日、地球温暖化に関する最新の科学的知見をまとめた統合報告書を承認する。

 報告書は地球温暖化の影響は既に現れていると指摘するとともに、今世紀に入り温暖化が加速して回復不能な事態を招く恐れがあると警告している。IPCCが温暖化と温室効果ガスの影響に関する報告書を作成するのは2001年以来のこととなる。

 報告書は20ページの政策立案者のための要約部分と、70ページの技術文書で構成される。総会閉幕後に潘基文(パン・キムン、Ban Ki-Moon)国連事務総長の記者会見が予定されている。
 
 報告書は、実際に観測されている温暖化現象が人類活動によるものであることは「明確」だと指摘。山岳地帯での氷河の後退や積雪の減少、夏季に目立つ北極地域での海氷減少、永久凍土の融解などを、既に温暖化が進行中であることの証拠として列挙している。

 IPCCは西暦2100年までに、地表の平均気温は1980年から1999年までの水準に比べ、セ氏1.1度から6.4度上昇し、海面は18センチから59センチ上昇する恐れがあると予測する。

 熱波、暴風雨、水害、熱帯性低気圧、海面の上昇は今世紀、より広範囲かつ頻繁に発生し、その規模も拡大するという。

 報告書によると「全世界」がこれらの影響を受けるものの、皮肉なことに温暖化への関与が最も少ない低所得国ほど対策に必要な資源を得られないため、最も大きな被害を受けることになるという。

 統合報告書は12月にインドネシアのバリ(Bali)島で開催される国際会議で、温暖化対策を協議する際の資料として用いられる。(c)AFP