【11月16日 AFP】携帯電話を片時も手放さないモバイル世代の米国のティーンエージャーは家に引きこもり、親の世代より「モバイル(移動)的」ではない。外の世界の探索よりも、ネットサーフィンをすることに興味を持つ。

 このほどボストン(Boston)で開催された「モバイル・インターネット・ワールド会議(Mobile Internet World)」では、集まった参加者から、こうしたティーンエージャーの「ベッドルーム・カルチャー」が成人してからも続いていくのではないかという懸念の声が上がった。「ベッドルーム・カルチャー」とは、自己主張、外界への恐れ、そして自分の部屋から世界につながることを望むといった、現代の若者の風潮だ。

 若者に人気のSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)サイトMySpace(マイスペース)の世界では、モバイル世代はさまざまなオプションを自身の判断でコントロールし、カスタマイズしようとする。

 Wireless GridsのNorman Lewis氏は、企業側がこうした若者のライフスタイルに合った商品を提供しなくてはならないジレンマを語った。「彼らはわが社の将来の顧客だ。真っ向から戦えば、経営的に痛手を負うことになるだろう」

 MTVネットワークス(MTV Networks)のGreg Clayman氏も同意して、「若者をコントロールすることはできない。今までずっと欲しいものを欲しい時に与えてきたのに、突然やめるわけにはいかないだろう」と語った。

 こうした若者たちの世界は、ネットワークのメンバーの推薦が何より重要な、「完全な推薦制文化」だと、Clayman氏は指摘する。

「(マイスペースのような世界で)重要なのはその世界での社会的地位と自身で何でもコントロールできることだ」とLewis氏は話す。「若者たちはマイスペースで1000人の友達を作ろうとし、私的・公的の区別なくブログで自身の日記を公開する。モバイル世代にとって自己表現とはコミュニケーションの形式だ。この世代にとって、もはやモノを所有することに意義があるのではなく、それをどのように利用するか、どのように独自化するかが重要だ」

 また同氏は、この世代が「何かに阻まれることを許さないのだ」として、アップル(Apple)のiPhoneがハッカーに解読されたことからもわかるように、今後は専売特許のシステムよりもオープンなシステムに移行するべきだと提案した。

 こうしたなか、マイケル・ブルームバーグ(Michael Bloomberg)ニューヨーク市長は不利な条件下にあるアフリカ系やラテン系の学生への褒賞として携帯電話を使っているという。

 今後、ニューヨークの公立校約20校では生徒に携帯電話が提供され、携帯メールを通じて成績優秀者にスポーツイベントのチケットや着メロなどがプレゼントされるようになる予定だ。(c)AFP