【11月15日 AFP】カンボジアの首都プノンペン(Phnom Penh)で14日、前日、病院に収容された旧ポル・ポト政権のキュー・サムファン(Khieu Samphan)元国家幹部会議長(76)の妻、Sor Socheat夫人がAFPの取材に対し、同氏がポル・ポト政権時代の大量虐殺を裁く特別法廷に「自主投降することはあり得ない」と述べ、同法廷による同氏の身柄拘束が近いとの憶測を否定した。

 12日には、イエン・サリ(Ieng Sary)元副首相(78)とその妻のイエン・チリト(Ieng Thirith)元社会問題相(75)が特別法廷によって拘束されており、同法廷で被告として裁かれる見込みの旧ポル・ポト政権幹部5人のうち、身柄を拘束されていないのはキュー・サムファン議長のみとなった。

 しかし、Sor Socheat夫人は「(キュー・サムファン議長は)正式な召還状が提示された場合のみ出廷する」と強気の姿勢をみせる。

 キュー・サムファン議長は、13日夜に高血圧で倒れたことから、フン・セン(Hun Sen)首相の命令により14日、同国北西部の旧ポル・ポト派支配地域パイリン(Pailin)の自宅から、プノンペンのカルメット病院(Calmette Hospital)に移送された。

 移送命令についてフン・セン首相は「もしキュー・サムファン議長が死亡するような事態になれば、カンボジア政府が責任を問われる」と説明した。

 Sor Socheat夫人によると、病院に収容されたキュー・サムファン議長は、CATスキャンなど多数の医療検査を受けたが、結果についてはまだ知らされていないという。また、15日現在、同議長の容態は落ち着いており、発作もなかったが、退院の見通しはたっておらず、引き続き治療を受ける見込みだという。

 キュー・サムファン議長の病院収容は、高齢化が進む旧ポル・ポト政権幹部らが、特別法廷が開廷する前に死亡しかねないとの懸念を、改めて浮き彫りにした。(c)AFP