【11月15日 AFP】米シンクタンク「カーネギー国際平和基金(Carnegie Endowment for International Peace)」のシニアアソシエイト、アルバート・ケイデル(Albert Keidel)氏は14日、中国の実質経済は直近の公式統計よりも40%小規模であるとの見方をAFPとのインタビューのなかで示した。

 元米財務省官僚で世界銀行(World Bank)でエコノミストを務めた経験もあるケイデル氏は、アジア開発銀行(Asian Development BankADB)のデータおよび世銀のガイドラインを基に、為替相場の影響を受けない購買力平価(PPP)ベースで中国経済の各種統計を算出しなおした。その結果、実際に中国政府が公表している数値と比べて40%低い数値が得られたという。

 また、世銀が貧困の基準として定める1日1ドル未満で生活する貧困者の中国における人数は、現行推定の3倍となる3億人だった。

 購買力平価(PPP)ベースによる中国実質経済の算出を行ったのは、ケイデル氏が初めてだという。

「今回の算出で得られた数値は、中国政府の重視政策が、国内経済の発展、公共投資、公害対策、貧困削減といった国内事項に偏重する理由を明確に物語っている」(ケイデル氏)

 このほか、2005年の中国の国内総生産(GDP)は約5兆ドル(約553兆円)、米国は約12兆ドル(約1330兆円)となった。

 この結果に基づけば、中国が日本を抜いて世界第2の経済大国となり得ることはあっても、2030年以前に世界最大の経済国である米国を抜く可能性はなくなる。

 ケイデル氏の同分析・算出結果は、カーネギー国際平和基金の報告書および英フィナンシャル・タイムズ(Financial Times)紙にも掲載されている。(c)AFP/Rob Lever