【10月26日 AFP】(一部修正)ローマ法王庁は25日、14世紀に行われたテンプル騎士団(Knights Templar)の異端性を問う宗教裁判の史料を公開した。

Processus contro TemplariosHearing Against the Knights Templar、テンプル騎士団の異端審問記録)」と題されたこの史料は、当時のフランス国王フィリップ4世(King Philip IV)の命により1308年に南東部ポワチエ(Poitiers)で開かれた宗教裁判の議事録をまとめたもの。公開された文書は300ページで、中世ラテン語で書かれている。ローマ法王庁は複製版を799部限定、1部5900ユーロ(約97万円)で販売する予定だ。

 史料は、司教や枢機卿の会合用に使われているホールで報道陣や一般市民を対象に公開された。同庁の枢密文書館のSergio Pagano館長は、史料にはすべての裁判記録の複製が網羅されているが「特に目新しい情報はない」とする一方で、円筒形の巻物入れの「美術的価値」の高さを指摘した。史料には、法王クレメンス5世がテンプル騎士団の異端を「無罪」としたことで知られる文書「Chinon Parchment」も含まれる。

 テンプル騎士団は1119年、聖地保護と異教徒撃退のために創設された。聖地エルサレム(Jerusalem)が13世紀にイスラム教徒の統治下に置かれた後、騎士団はヨーロッパに逃れ、その拠点をフランスに置くようになった。

 1308年、テンプル騎士団の財産没収を狙ったフィリップ4世がアビニョン(Avignon)法王クレメンス5世(Clement V)に働きかけたことにより、騎士団の異端性を問う裁判が開始。法王クレメンス5世が「無罪」の判断を下していたにもかかわらず、39人の指導者が1314年に火刑に処せられた。騎士団は1312年に解散している。

 テンプル騎士団は、キリストが最後の晩餐で用いた「聖杯」の守り主として知られるほか、入会に際しての秘儀や、解散によって行方不明になった財宝を巡る謎に包まれ、中世ヨーロッパの三大騎士修道会の1つとされる。(c)AFP