【10月24日 AFP】欧州委員会(European Commission)は23日、将来の労働力不足をにらんだ新たな移民労働者制度「ブルーカード」の概要を明らかにした。新制度の導入により、高度な熟練技能を有する移民の欧州連合(EU)加盟国への移住を促す。

 青色のEU旗にちなんで「ブルーカード」と名付けられた同制度は、米国の永住許可証「グリーンカード」を参考に、数百万人の熟練労働者のEU域内移住を想定している。

 EU域外で優秀な能力を持つ移住希望者を対象に、米国、カナダ、オーストラリアに加え、EU諸国も移住先として考慮してもらおうとの狙いがある。 

「ブルーカード」を取得した熟練労働者についてはEU域内への移住を容易にし、2年間の居住権が与えられる。居住権はその後も更新可能。このほか、長期滞在ビザの発行も迅速化するとしている。また、一定条件のもとで別のEU加盟国での就労も許可する。

 一方で「ブルーカード」の取得には、相当の学位を有することや3年以上の就労経験が条件となるほか、就労職種がEU市民では代替不可能との証明を必要とするなどの制約もある。

 同制度については、安価な労働力の大量流入を懸念する労働組合の反発を招く恐れがあるため、「ブルーカード」保持者の就労に際しては、賃金水準を就労国が定める最低賃金の3倍以上とする規定も設けられる。
 
 EUのジョゼ・マヌエル・バローゾ(Jose Manuel Barroso)委員長は、フランス東部ストラスブール(Strasbourg)で記者会見し、「ブルーカード」の創設について「EUが高度な技能を持つ世界中の優秀な労働者を歓迎するという明確なメッセージだ」と語った。(c)AFP