【10月19日 AFP】(一部更新)映画「地上より永遠に(From Here To Eternity)」や「王様と私(The King And I)」などの出演で知られる英女優デボラ・カー(Deborah Kerr)さんが16日、英東部のサフォーク(Suffolk)で亡くなった。享年86歳。関係者が18日明らかにした。

 ハリウッドの「英国のバラ」として親しまれたカーさんは、1921年9月30日、スコットランド(Scotland)のグラスゴー(Glasgow)近郊にあるヘリンズバラ(Helensburgh)で生まれた。当初はバレエダンサーを目指していたが、第二次世界大戦中に映画女優となる道を選ぶ。ハリウッドでは、スコットランド出身ながら、典型的な「優雅で洗練された英国人女性」のイメージを築き上げた。

 1947年の『黒水仙(Black Narcissus)』で一躍脚光を浴び、1950年代にはハリウッド屈指のスターに。1953年の『地上(ここ)より永遠に(From Here To Eternity)』で、共演者のバート・ランカスター(Burt Lancaster)と演じた情熱的な抱擁は、最も有名なキスシーンのひとつにあげられる。

 1957年の『白い砂(Heaven Knows Mister Allison)』では修道女、1958年の『悲しみよこんにちは(Bonjour Tristesse)』では一般的な女性、1961年の『回転(The Innocents)』では女性家庭教師など、多数の作品でさまざまな役柄を演じたが、つねに洗練された美しさと知性にあふれていた。

 一方、1967年にはボンド映画のパロディ『007/カジノ・ロワイヤル(Casino Royale)』に出演、コメディもこなせることを証明した。

 アカデミー主演女優賞には6回ノミネートされたほか、1994年には映画界への貢献を評してアカデミー特別名誉賞を授与されている。

 パーキンソン病を患い、長年スイスで暮らしていたが、病状が悪化したため、家族のもとで暮らしたいと英国に戻っていた。私生活では2度結婚し、1人目の夫との間に2人の娘がいる。(c)AFP